マンションの種別や取引形態による諸費用の違いとは?負担の大きさも徹底比較

現在、投資用マンションは「投資への意識変化」や「インフレ」で注目を集めています。安定した資産形成も期待できるため、購入を検討している方も多いのではないでしょうか。

しかし、投資用マンションの購入には、販売価格だけでなくさまざまな諸費用がかかります。諸費用は登記費用や税金など多くの種類があり、マンションの種別や取引形態によって、発生する費用も異なります。
諸費用も物件価格と同じ「初期投資資金」となるため、購入前に発生する費用の種類を確認しておかなければなりません。

この記事では、投資マンション購入時に必要となる諸費用を、マンションの種別や取引形態ごとに比較しながら解説していきます。あなたの購入したい投資用マンションに発生する諸費用を確認し、必要となる初期投資資金を把握していきましょう。

目次

マンションの種別と取引形態

投資用マンションにかかる諸費用は、マンションの種別と取引形態で異なります。
まずは、諸費用の違いに影響を与えるマンションの種別と取引形態について、どのような種類があるのか確認していきましょう。

「新築マンション」と「中古マンション」

投資用マンションの種別には「新築マンション」と「中古マンション」があり、購入する種別によって諸費用は大きく異なります。
新築マンションとは、建設工事が完了して1年以内であり、かつ未入居のマンションのことです。
中古マンションとは、入居実績が一度でもある、あるいは建設工事後1年以上経ったマンションのことを指します。

「売主販売」と「仲介販売」

投資用マンションの取引形態には、売主販売と仲介販売の二種類があり、主に仲介手数料の有無が諸費用に影響を与えます。
売主販売とは、販売会社が売主となって、買主と直接取引して所有する物件を直販する取引形態です。売主と買主との間に他の会社が入っていないため、仲介手数料は発生しません。

ほとんどの新築マンションは、「デベロッパー」と呼ばれる開発会社が売主となり、売主販売を行っています。したがって、新築マンションの購入ではほとんどの場合で仲介手数料がかかりません。

一方で仲介販売は、売主と買主との間に不動産会社が入り、契約を成立させる取引形態となります。そのため、不動産会社に仲介手数料を支払うことが必要です。
中古マンションは、仲介販売で取引されることが一般的であるため、諸費用に仲介手数料が含まれます。

中古マンションにおける売主販売

中古マンションでも、中古再販などの売主販売が一定の割合で行われていることがあります。

特に、リフォーム済みマンションやリノベーション済みマンションは、売主販売で取引される傾向があります。不動産会社が中古マンションを買い取ってリフォームやリノベーションを行い、売主として販売するケースが多いからです。
売主販売であるため、仲介手数料が発生しません。

購入時の諸費用を、マンションの種別と取引形態ごとに比較

投資用マンションの諸費用は、マンションの種別と取引形態によって、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
新築マンションを売主販売で購入した場合と、中古マンションを売主販売と仲介販売それぞれで購入した場合を比較すると、以下の表のようになります。

【新築・中古・仲介】購入時の諸費用の比較

費用項目 詳細 発生時期 新築物件
(売主販売)
中古物件
(売主販売)
中古物件
(仲介取引)
備考
物件費用 表題登記料(部屋) 引渡し時 × × (新築) 物理的状況を新たに登記する費用
登記費用 所有権保存登記(部屋)の登録免許税 引渡し時 × × (新築)所有権情報を新たに登記する費用
所有権移転登記(部屋)の登録免許税 引渡し時 × (中古) 所有権情報の変更を登記する費用
所有権移転登記(土地)・登録免許税 引渡し時 土地の所有権情報の変更を登記する費用
*抵当権設定登記(土地/部屋)・登録免許税 引渡し時 *抵当権情報を登記簿に登録する費用
司法書士報酬・その他の実費等手数料 引渡し時
管理費用 管理基金 引渡し時 × × (新築) 管理組合の管理資金の初回積立費用
修繕積立基金 引渡し時 × × (新築) 管理組合の修繕資金の初回積立費用
保険費用 住宅総合保険(火災等)・地震保険 引渡し時
税金 固定資産税・都市計画税(日割按分) 引渡し時
印紙税(売買契約書) 売買契約時 *電子契約の場合は不要
*印紙税(ローン契約書) ローン契約時 *電子契約の場合は不要
ローン費用 *金融機関手数料 ローン実行時
*ローン保証料 ローン実行時
*その他の実費等手数料 ローン実行時
その他 仲介手数料(売買) 引渡し時 × ×
不動産取得税 引渡し後

*ローン購入で必要な諸費用

この表を基に、それぞれの種別と取引形態によって発生する諸費用の種類や負担の違いについて、詳しく解説していきます。

新築マンションを購入した場合

表の新築マンションのみに発生する諸費用に注目すると、表題登記料(部屋)と所有権保存登記(部屋)の登録免許税、2種類の管理費用があることがわかります。

表題登記料(部屋)とは、新築マンションのようにまだ登記簿が存在しない建物に、初めて「表題登記」を行うためにかかる費用です。一般的に、3~5万円程度かかるとされています。

所有権保存登記(部屋)とは、新築マンションを購入する際、その部屋の所有権を証明するために行う登記です。この登録免許税は、通常「固定資産税評価額×0.4%」と定められています。

表の管理費用の項目としてある管理基金と修繕積立基金は、新築マンションの管理・修繕に必要な費用として、引き渡し時に支払いが発生します。物件によって費用は異なりますが、一般的なワンルームマンションや1Kタイプのマンションであれば、合計で30~50万円程度かかる場合があります。

一方で、売主販売であるため、仲介手数料がかかることはありません。

中古マンションを売主販売で購入した場合

中古マンションを売主販売で購入する場合、表題登記料(部屋)や管理費用、仲介手数料はかかりません。

中古マンションの購入では、所有権保存登記(部屋)に代わって、所有権移転登記(部屋)を行うための登録免許税が必要です。税額は、「固定資産税評価額×2%」となります。

新築マンションと比較すると、登録免許税の負担が大きいケースが多いですが、表題登記料や管理費用がかからない分、諸費用を抑えられる場合もあります。

ただし、売主が買い取ってから再販しているものが多く、仲介物件よりも比較的価格が高い場合があります。

中古マンションを仲介販売で購入した場合

中古マンションを仲介販売で購入した時も、表題登記料(部屋)や管理費用はかかりません。また、所有権移転登記(部屋)の登録免許税の税率も、取引形態によって変化しません。

しかし、仲介販売であるため仲介手数料が発生します。中古マンションの仲介手数料は、法定上限の「物件価格の3%+6万円+消費税」であるケースが一般的であり、金額にすると数十万円~100万円以上となることが多いです。

このように、発生する諸費用の種類は少ないですが、仲介手数料が高額となることが珍しくありません。登録免許税の軽減措置も適用されることが少ないため、新築マンションや売主販売で中古マンションを購入した場合と比較すると、諸費用の負担が大きくなることが多いと言えるでしょう。

ローンで投資用マンションを購入する場合、諸費用はどう変わるのか

投資用マンションは不動産投資ローンを利用して購入する場合、マンションの種別を問わず、抵当権設定登記費用や印紙税、金融機関手数料、ローン保証料、その他の実費等手数料が別途発生することがわかります。

不動産投資ローンに関わる諸費用は、マンションの種別や取引形態ではなく、利用する金融機関や借入額によって違いが生じます。また、金融機関によってはローン保証料がかからない場合もあります。
不動産投資ローンを利用する際は、金融機関で設定されている手数料や保証料を確認して、判断しましょう。

投資用物件を購入する際の諸費用は、以下の記事でも詳しく解説しています。

まとめ

投資用マンションを購入する際の諸費用は、マンションの種別や取引形態によって発生する種類や金額が異なります。

特に、諸費用に影響を与えるのが、仲介手数料の有無です。仲介手数料は、金額にすると数十万~100万円以上するケースが多く、初期投資額とすると意外と大きな負担になります。
そのため、初期投資資金を検討する時は、物件価格だけでなく、あなたの購入したい投資用マンションにかかる諸費用や手数料も含めたものとして考えましょう。
マンション投資はケースバイケースであるため、検討段階で価格や諸費用の金額を把握しておくことを推奨します。

投資用マンションを選ぶ際に欠かせない利回りの比較についても、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!

この記事の著者

時代に合った不動産投資を、具体的な事例やノウハウを元にリアルに情報発信している「スクエア編集部」。 40年以上、物件開発から賃貸・建物管理、仲介を行ってきた老舗グループ企業による運営の下、読者に確かな不動産投資を推奨すべく活動しています。

目次