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リモートワークの普及により、単身者向け住宅の需要は変わるのか?

新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言によって、リモートワークを試みる企業が増え、緊急事態宣言後も継続してテレワークを実施している企業も少なくありません。

こうした市況の変化によって、不動産投資を実施してる方や検討している方の中には、住まいの役割や求める優先順位が変わり、投資環境が大幅に変化すると不安を覚える方も多いのではないでしょうか。

今回は、リモートワークの普及と住まいに対する考え方の変化などを、さまざまな統計データを基にその影響についてご紹介していきます。
また、本コラムではクレアスライフが推奨している都心のワンルームマンション投資を不動産投資としてまとめています。

【目次】

1.在宅勤務普及と賃貸需要
 在宅勤務の普及状況
 都心の賃貸需要
2.住まいへの意識変化
3.単身者にとって郊外需要はあるのか?
 ①.間取り
 ②.ライフスタイル
4.単身者向け住宅の変化
5.まとめ

1.在宅勤務普及と賃貸需要

コロナ禍によって、三密を避ける働き方「在宅勤務」が普及したように感じられますが、実際にはどの程度変化しているのでしょうか。
まずは、それぞれのデータから直近の状況について見ていきましょう。

在宅勤務の普及状況

人材系シンクタンクのパーソル総合研究所(東京・千代田)が、全国の20~59歳の正社員2万人を対象にしたアンケートによると、テレワークの実施者は緊急事態宣言に伴い13.2%から25.7%に増加しました。
緊急事態宣言解除後(5月29日~6月2日)は25.7%と、2.2%落としましたが、高い実施率を維持しております。

都心の賃貸需要

東京都の人口は2020年5月1日時点で1,400万人を突破しました。前年同月比で8万人余り増加しており、人口の都心一極集中が続いております。
これは、都心に仕事が集まっていることを意味し、多くの人が都心での生活を選んでいると考えられます。

しかし、今回のコロナ禍により「在宅勤務」が普及したことで、都心部に住まなくても仕事ができると認識した人は少なくないでしょう。
そうした環境の変化により、賃貸住宅に入居者が求めるものも変わっていく可能性があります。

例えば、都心で賃貸住宅を選ぶうえで重要なポイントは「利便性」であり、駅近・最寄り駅の複数路線・周辺環境などがその代表でした。
ただ、「住環境」などを重視する人が増えるかもしれません。

2.住まいへの意識変化

それでは、具体的に住まいの意識変化について見ていきましょう。ミサワホームグループの研究機関・ミサワホーム総合研究所は、コロナ禍における在宅勤務の実態調査を行いました。

それによると、在宅勤務経験者の75%が複数の場所を使い分けたい意向があり、半数以上が個室を要望しています。また、在宅勤務を経験した65%が自然豊かな郊外に住むことを望むようになったことが分かりました。

ただ、このアンケートは既婚者のみをターゲットしており、単身者のニーズは考慮されていません。類似したニュース記事をご覧になられた方も多いかと思いますが、あくまで既婚者にとってはそうであり、単身者が求めているものが同じとは言い切れません。

3.単身者にとって郊外需要はあるのか?

先ほどは、既婚者をターゲットにした統計データをお伝えしましたが、単身世帯にはどの程度当てはまるのでしょうか。
既婚者と単身者が住居に求める内容を整理するには、次の2つの観点が重要になってきます。

・間取り
・ライフスタイル

①.間取り

まず、ファミリー向け物件と単身者向け物件では間取りが異なります。
例えば、在宅ワーク前提でファミリー層向けは物件を選ぶと、書斎スペースを確保するために4LDKは必要になりますが、単身者向けであれば1Kで十分です。

都心部で4LDKを賃貸しようとすると、家賃が高額になってしまう為、郊外を選択せざるを得ない状況があります。
一方、単身者向けの1Kであれば都心でも10万円前後で暮らすことができ、会社から住宅補助も出るため郊外に移り住むメリットはありません。

実際、パーソル総合研究所がまとめた企業規模別のテレワーク実施率を見ても、従業員数が多い企業ほど、テレワーク実施率が高まる事が分かっています。
テレワークを実施している大手企業では社員の福利厚生が充実している事がほとんどです。

社宅補助が出ていれば、ファミリー物件も同じではないかと思うかもしれませんが、ファミリー物件の場合、賃貸するのではなく購入をしてしまう方が多く、自己負担割合が高い傾向にあり、都心部で広い部屋を選択する事は難しいのです。

賃貸用物件に単身者向け住宅が良い理由については以下の記事でも紹介していますので、ご参考にしてください。

不動産投資に単身者用物件が良い理由

②.ライフスタイル

5月中旬に生産性本部が調査したテレワークで勤務した1週間の出勤頻度によると、週に5日以上テレワーク勤務を実施した人は9.5%にとどまっています。
テレワークを実施しても、職場に行かないと閲覧できない資料や通信環境の問題などで最低でも週に2~3日以上は会社に出勤をしている人が多いようです。

既婚者であれば、週の半分が在宅している状態であれば家族を優先するという考えになるかもしれませんが、単身者では出勤時間が短ければ短いに越したことはありません。

また、オフの過ごし方も大きく異なります。既婚者であれば仕事終わりはすぐに帰宅し、家族サービスに時間を使うことが多いかもしれませんが、単身者であれば買い物や娯楽が集う都心部へ出かける機会も多いでしょう。

他にも、在宅勤務ならではの問題もあります。パーソル総合研究所の調べによると、テレワークを行っていると、人とのコミュニケーション機会が減り、孤独感が高くなることが分かっています。

上記のことから、単身者であるがゆえに、人が集まる都心への利便性の需要は今回の影響で大きく変わることは無いのかもしれません。

4.単身者向け住宅の変化

都心のワンルームマンションへのニーズは、単身者世帯が減らない以上、一定のニーズがある事はご説明した通りですが、単身者世帯の求めるものが変化しない訳ではなく、注意が必要です。

例えば、今までは洋室6畳間の寝るだけのスペースだったところが、洋室8畳ほどの仕事用のスペースも確保できる広さのニーズ、オンライン会議や動画サービスを見る機会が増えたことによる、インターネット環境のニーズが増えることが予想されます。

これから賃貸物件を検討される方は、そういった目線で物件選択をする事が新しい働き方への賃貸需要対策と言えるでしょう。

ただ、リモートワークが定着するには時間がかかる可能性があるため、在宅ワークを意識しすぎた物件選びには注意が必要です。
例えば、勤務環境を会社とリモート用で備えなければならない企業側の固定費や社員の仕事への意欲など、リモートワークが長期化することへの問題も懸念されています。

そのため、リモートワークに注目をしすぎて、郊外ファミリー物件を投資対象とするのは時期尚早かもしれません、現段階では都心部の単身者向け住宅をおすすめします。

5.まとめ

今回は、コロナ禍におけるリモートワークの普及と住環境の変化についてご紹介しました。

自然豊かな郊外に移り住みたいというニーズは一定数考えられますが、都心のワンルームマンションのニーズが大幅に減少することは今のところ考えにくいといえるでしょう。
ワンルームマンションは単身者がメインターゲットであり、単身者にとっては郊外に移り住むメリットはあまり多いとは言えません。

しかし、リモートワークが定着するには様々な問題があり、郊外にファミリー向けの物件を用意するのは、現状ではあまりおすすめできません。