不動産投資の物件と選び方

不動産投資に単身者用物件が良い理由

世の中には多くの物件が供給されていますが、その中でも東京都心部の単身者用物件がお勧めです。

世帯人員別世帯数(平成27年国勢調査参照)をみると日本では一人暮らしの世帯が一番多く、全国的には約5,333万世帯のうち約1,841万世帯が単身者とされ、東京では約669万世帯のうち約316万世帯が単身者となっています。
また全国的には世帯人員が1世帯あたり2.33人、東京都に至っては全国で唯一2人を割り込み1世帯あたり1.99人となっています。
都心部はかなりの割合で1人暮らしの方が多い事が分かります。
また都心ほど初婚年齢が高く(晩婚化)、一生涯のうちひとり暮らしをする期間が長くもなっています。

しかしながら世の中で供給されているマンションの内、多くはファミリーマンションになります。
ワンルームマンションの供給が多い首都圏であっても、およそ7割がファミリーマンションです。
日本には単身者が多いはずなのに、世の中に新規供給されるマンションの多くはファミリーマンションという現象が起きています。
世帯人員の減少に伴い、専有面積の小さい物件も一定程度増えましたが、まだまだ限定的だと思います。

ファミリー世帯の住まいは「購入する」と「借りる」に二分するのに対し、単身者世帯の多くのは「借りる」という選択をされます。
単身者の場合には自分が住むために一人暮らし用のマンションを購入するケースは少なく、賃貸住宅を借りるという方が圧倒的に多く、家庭を持ってからマンションを購入するケースが大半を占めます。
当社の社員は、私も含め独身時代から住まいとしてマンションを購入するケースが多いですが、世間的には稀です。

単身者の引っ越し事情

また独身時代に6回引っ越しをした私の経験上ですが、単身者の引っ越しは梱包から引っ越しまで所要時間1日、費用も近距離の場合には1万円から3万円程あれば可能です。
インターネットで検索すると単身者用の引っ越し代金は平均4万円前後とありましたが、繁忙期をはずした平日への日程調整、荷物の量を少なくすること、その他軽トラックの利用等、工夫すれば安く抑えられます。

しかし、ファミリー世帯の引っ越しとなればそうはいきません。
お子様がいらっしゃるご家庭の場合には家財道具等も増えますし、幼稚園の転園や学校の転入(転校)などが絡む場合の手続きなど、大きな出費や多くの手続きを必要とします。
そしてなによりも、お子様への精神的な影響などを気にされて卒園や卒業まで引っ越しをためらうケースも多くなります。

卒園・卒業まで引っ越しをしない方が多いとなると、世間の新生活スタート時(特に3月・4月等の引っ越し業者の繁忙期)は入退去が多いが、その他の時期は少ないという事になります。
ファミリータイプの物件を賃貸しているオーナー様が、繁忙期以外の時期に入居者の急な転勤などによる退去があると、新たな入居者を見つける事に苦労するケースも多くなります。
賃貸付けに苦労すると、速やかな入居の為に周辺の家賃相場以下で募集するといったオーナー様にとって不本意な手段をとることも必要になってきます。

単身者の転勤も3月や4月に集中するケースが多いですが、引っ越しが比較的簡単にできてしまいますので、シーズンはさほど関係なく新たな入居申し込みがあります。転勤等を伴わない通勤時間の短縮や部屋が手狭になった等による単身者の引っ越しの場合には、代金が高くなる繁忙期よりも通常期に引っ越しを希望される方も多いです。
単身者用マンションはシーズン問わず入居者の退去後にも速やかに新たな入居を得られ易いのです。

単身者用物件がオススメな理由

東京には単身者が多いのに供給される物件の多くはファミリーマンションという需給のアンバランスや、シーズン問わず新たな入居を得られやすいという特徴が入居率を安定させ、また入居率が安定する事で家賃を高く安定させる事ができます。最終的には家賃を高く安定させる事で資産性を維持する事につながります。

またオーナー様にとって負担となる修繕費についても単身者用の物件の方がコストに優れます。
例えば壁紙交換ですが、一般的に壁面と天井部分を全部交換する場合には、お部屋の専有面積に対して約3倍から約3.5倍の面積の壁紙が必要と言われます。(梁や柱の張り出しにもよります。)専有面積25㎡タイプの場合、だいたい80㎡程の壁紙が必要です。
当社の場合、単身者用物件を主に扱っておりますので、壁紙の全部交換をしても6万円~8万円で済むケースが多いですが、3LDK等のファミリーマンションの場合には、壁や柱も多くなりますので30万円~40万円程かかるケースも多くなります。

またエアコンに掛かる費用ですが、単身者用物件の場合には内部洗浄等のメンテナンスに約1万円~1万5,000円程、交換の場合も約6万円~8万円程掛かるのが一般的だと思います。
単身者用住宅の場合、1室に1台設置されるケースがほとんどですが、3LDKのマンションにエアコンが4台設置されていれば、4台にメンテナンス・故障による高額な交換費用なども発生致します。
もしお部屋にエアコンが設置されていないお部屋がある場合には、賃貸会社から賃貸付けを有利にする為に付けてくださいと要求されるケースも多くなりますので、エアコンの購入設置費用も掛かります。
また水回り等の設備についても、ファミリーマンションの場合には家族皆で使いますので、使用回数も増えます。1つの設備を1人で使うのと、1つの設備を3人で使うのでは使用頻度も変わりますので故障の頻度も上がると思います。
家賃収入と修繕コストを勘案した収支バランスをあらかじめ想定しておく事も必要です。

郊外であれば、東京都心の単身者用物件とあまり変わらない金額でファミリーマンションが購入できますし、賃貸に出した際の新築時の家賃はファミリーマンションの方が高いかもしれません。
しかしながら、現在の日本の世帯人員数、賃貸需要と供給のバランス、予想される空室期間、長期的に見た築年数別の賃料相場、大事な修繕コスト等、さまざまな観点から詳しく検証をして頂くと東京都心部の単身用物件でマンション経営をして頂く事をお勧め致します。

マンション経営には様々な観点から検証をして頂く事が必要ですが、インターネット上で簡単に手に入る情報だけでは判断が難しい事も多いです。
まずは、信頼できるパートナーとなる企業を見つけ、専門のプランナーに相談してみてください。

西田 陽一

株式会社クレアスライフ 不動産コンサルタント
営業本部 課長代理