不動産投資のポイント

中古物件は本当にお得?意外と知らない新築との違い

中古物件は本当にお得?意外と知らない新築との違い

近年、不動産投資市場では、中古物件も多く流通されています。
特に不動産投資家のなかでは、新築物件と比べて安価で利回りが高いという理由から中古物件を対象に検討している方もいるのではないでしょうか。
今回は、中古物件を購入する前に、知っておくべき新築物件と異なる部分をまとめていきます。

瑕疵に対する消費者保護

2000年の「住宅品確法」が制定されて以来、新築住宅の主要構造部分については、その販売会社に10年間の瑕疵担保責任が義務づけられました。
これにより購入者は、それまで宅地建物取引業法で定められた引渡しから2年でよいとされる販売会社の瑕疵担保責任負担を延ばすことができるようになったのです。
一方で、特に仲介物件(売主が宅地建物取引業者でない)については売主の瑕疵担保責任の期間は一般的に短期(数か月など)に設定されているものが多く、後に発生する可能性のある修繕コスト等のリスクを把握しておく必要があります。

2009年の「瑕疵担保履行法」の施行により、新築住宅の販売会社は、先述の10年間の瑕疵担保責任に対してその費用を補償するために一定額の瑕疵担保保証金を事前に供託するか、国土交通省の指定を受けた保険法人の保険に事前加入することが義務づけられました。
これにより、後に瑕疵が見つかった際に、その瑕疵を補修する費用を売主が払えなかったとしても、その保証金や保険によって支払われることができるようになりました(保険は限度額がある)。
その一般的に新築住宅瑕疵保険とよばれる保険の特約によっては、それを中古物件として購入した場合でもその保険期間に残存期間があればその期間適用される場合もあります。

つまり、築年数が10年を超えその期間が終わってしまっている中古物件や、既に築古でその保険制度ができる前に新築販売された中古物件を購入する際は、既存住宅瑕疵保険に加入されていない限り、そのような補償がない場合があることを想定しておかなければなりません。

新築と中古の税金の違い

不動産を購入すると、最初に不動産取得税、その後は毎年の固定資産税・都市計画税が課税されるようになります。
現在は、これらの税金について一定要件に該当すると減税の特例を受けることができるようになっています。

「不動産取得税」については、住宅の取得(面積、築年数等の要件あり)について、その課税標準額が大幅に控除される特例があります。
これは、貸家、すなわち投資物件にも適用されますが、中古住宅については築年数によりその控除額が減ります。
また、もともと築年数が古かったり、新耐震基準を満たしていなかったり特例の要件に当てはまらない場合は、この特例を受けることが出来ず、取得税コストを引き下げることができない場合があります。
中古物件の購入の際には、確認しておく必要があります。

「固定資産税」についても、住宅の取得(面積や耐火構造等の要件あり)について、一定期間において減税措置を受けることができます。
この特例は、新築住宅にのみ適用されます。

「仲介手数料」がかかる?

中古物件の購入では、不動産会社が仲介する物件を購入するケースがあります。
これは販売会社や一般個人などの売主から直接買うのではなく、仲介会社を介して購入するため、その仲介会社に対し報酬を支払うのが一般的です。
その手数料となる報酬額(仲介手数料)は下記を上限として定められています。

売買価格の200万円部分について5%
売買価格の200万円超~400万円以下部分について4%
売買価格の400万円超部分についてその額の3%
※仲介手数料には消費税が課税されます。

売買金額の部分について率が異なるため、速算式として400万円超の売買であれば「売買価格×3%+調整額6万円」のように算出されています。
例えば、売買価格が3,000万円の場合、「3,000万円+3%+6万円」で96万円(税抜)の仲介手数料を購入者は支払う必要があります。

この仲介手数料は、あくまでも仲介会社を介した購入にかかるものであり、新築物件などを販売会社から直接購入する場合には発生しません。

「仲介手数料」がかかる?

ここで説明しているのは一部ですが、不動産投資において投資額となるのは、不動産そのものの価格だけではなく、資本的支出となる諸費用や手数料、取得や保有時にかかる税金、後の修繕費支出も含まれます。
投資物件を比較する際、一方の価格や表面利回りがよく見えても、総合的に計算すると大きな差がなかったり、空室リスクや修繕コストなどを加味すると逆転したりする場合もあります。
購入する際の価格だけでなく、その他の支出やリスクを総合的に考慮して判断することが大切といえるでしょう。

株式会社クレアスライフ 不動産コンサルタント

清水 剛

不動産投資の営業として16年従事し、これまで数百人に上る投資検討者への提案・アドバイスを行う。 現在は営業の第一線から卒業し、企画側として不動産投資の魅力を多くの人に伝えるべく、セミナー講師やメディア出演などに精力的に取り組んでいる。