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【2019年7月】令和元年分の路線価発表! 4年連続で上昇、一方で相続税への影響も

都心の路線価はバブル並、バブル超のエリアも。

国税庁は7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2019年分の路線価(1月1日現在)を発表しました。
全国約32万地点の標準宅地は18年比で1.3%のプラスとなり4年連続で上昇、上昇率はこの4年で最も高い数値となりました。

図表1:東京都中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前の路線価の推移

路線価トップは34年連続で東京都中央区銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前。1㎡当たり4560万円の路線価は3年連続で過去最高を更新しました。
これはバブル期を上回る水準です。
とはいえ、昨今の価格上昇はバブル期の要因とは異なる様相です。近年は「投機」といった要素ではなく、インバウンドや再開発などによる需要増が主たる要因といえます。
バブルと比較すると、実態の伴った地価上昇と言え、日本経済にとっては明るい状況と見ることが出来ます。
その半面、路線価上昇は、一部の国民の皆様にとっては頭の痛い話ともなります。

(国税庁「財産評価基準」より作成)

路線価は相続税算出の基準

図表2:相続財産金額の推移(全国)

路線価は相続税算出の基準となる価格です。
その相続税自体は、増税傾向にあり、2015年には基礎控除額がそれまでの「5000万円+1000万円×法定相続人の数」から4割減の「3000万円+600万円×法定相続人の数」に引き下げとなったため、相続税が課せられる人の数が大きく増えました。
日本全国でいうと、12人に1人が相続税の対象となっています(2017年)。その分、相続財産の金額も増え、図表2からもそれは明らかです。

(国税庁資料より作成)

図表3:地価公示と相続財産金額(土地)の変動率推移

土地のまま相続した場合、路線価が上昇すると、土地の評価額もダイレクトに上がるので、相続税の対象となるだけでなく、相続税の負担も増えてしまうということになります。
路線価は地価公示の8割程を目安として算出されるので、ここでは地価公示を用いて、土地に対する相続財産金額との相関を算出すると0.70と高い数値となりました。
今後、地方でも都心の上昇基調が波及すると想定するならば、所有する不動産の路線価は毎年確認しておくべきと言っていいのではないでしょうか。

(国土交通省「地価公示」、国税庁資料より作成)