不動産投資のポイント

サラリーマンが地方で不動産投資を行うと失敗する3つの理由

サラリーマン大家が不動産投資をするのであれば地方の物件を扱うのではなく、東京都心の物件を扱ったほうが圧倒的に有利であり、地方の物件は控えるべきです。
それには、人口流入や投資対効果など、さまざまな理由があります。

今回は、東京で不動産投資を行う場合と比較しながら、地方で不動産投資を行うことのリスクをご紹介していきます。

【目次】

1.地方で不動産投資をすると失敗する3つの理由
 失敗する理由①.人口流入
 失敗する理由②.賃貸需要の多様性
 失敗する理由③.投資対効果
2.都心の物件は利回りが低い分空室リスクも低い
3.地方に土地があっても買い換え特例がある
4.まとめ

1.地方で不動産投資をすると失敗する3つの理由

まずは、地方で不動産投資をした場合に失敗する主な原因を3つご紹介します。

失敗する理由①.人口流入

日本ではずいぶん前から少子化が問題になっていますが、不動産投資においては少子化よりも「人口流入」が問題になります。
人口流入とは、どれだけの人口がそのエリアに入ってくるかということです。
つまり、少子化が進んでいる地域であっても人口流入が多く総数が増えているのであれば、その地域には不動産賃貸の需要があるので不動産投資をする価値はあると考えることができます。

逆に、少子化が解消されつつある地域であっても人口流入が少なく総数が減っているエリアでは、不動産を借りようとする人が少ないことが考えられ、リスクがあると言えます。
今は、外国人が日本に移り住む事例も多くなっており、該当するエリアでは不動産賃貸の需要が高まっています。
ただ、そうした人口流入は東京の一極集中状態ですので、地方で不動産投資を行ってもその恩恵は受けにくい状況です。

参考:住民基本台帳人口移動報告 平成29年(2017年)結果
http://www.stat.go.jp/data/idou/2017np/kihon/youyaku/index.html

失敗する理由②.賃貸需要

地方の不動産投資は、その地域に存在する大企業や大学に通う人々をターゲットにし、賃貸物件を提供することで成立している部分があります。
しかし、これは単一の大企業ないし大学に依存した方法なので、その大企業や大学がなくなってしまえば一気に賃貸物件の需要はなくなってしまい、空室ばかりになってしまいます。

2016年のデータですが、全国には3,636社の上場企業があり、そのうち東京に本社を構えているのは1,800社程です。
つまり、半数以上が東京を本社としているので、たとえ数社が東京から移転しても、東京には他の会社の社員が住まうための賃貸不動産の需要が多くあります。
また、大学に関しても全国780大学のうち138校が東京に集中しているため、東京には多くの学生がいることは明らかで、この学生たちが住むための賃貸物件にはほぼ常時需要があるといっていいでしょう。
地方と東京では賃貸需要の多様性が明らかに違うのです。

失敗する理由③.投資対効果

土地の値段は東京より地方のほうが安いことが多いため、地方に土地を買って賃貸物件を建てたほうが、コストが低いと思っている人もいるかもしれません。
確かに土地代についてはその通りですが、問題は建物です。
基本的に日本のどこであっても、同じ建物を同じ工法で建築すれば似たような費用がかかり、地方だからといって大して安くはなりません。
同じコストで建てた物件を実際に賃貸するときのことを考えると、東京の家賃相場と地方の家賃相場では大きな差があり、東京の賃貸物件のほうが高い家賃を設定できます。
また、同じ建物の場合は修繕費も似たようなものになりますが、家賃の一部を修繕費に充てる以上、家賃の安い地方では家賃に対する修繕費の割合が高くなってしまいます。


このように、これから始めようとしているサラリーマン大家の方にとって、地方で不動産投資をするメリットはあまりないかもしれません。
「地方に既に土地がある」「代々伝わってきた土地がある」という人々は地方で不動産投資をされることが多いですが、地方に土地があるのであれば、むしろその土地を売却して東京都心の不動産を購入することをおすすめします。
幸いにも現在は「事業用資産の買い換え特例」というものがあり、買い換えることで大きな節税効果を得られますので、地方に土地を持っている人はぜひ買い換えを検討してみてください。

2.都心の物件は利回りが低い分空室リスクも低い

地方の物件は利回りが高いことが多く、その分投資したお金を早く回収できると思うかもしれません。
しかし、実際は空室リスクも高いため、利回りの通りの資金回収は難しい可能性があります。
一方都心の物件は、利回りは低いものの、賃貸不動産の需要が大きいため、地方に比べて空室リスクが非常に低いのもポイントです。
東京都心部を中心に管理しているクレアスレントが公表しているデータによると、募集物件の入居率は99%を長年維持しています。
サラリーマンの兼業として大家をする以上、物件を管理してもらうお金がかかるため、空室になると家賃収入がなくなるだけでなく維持費がかかって収支がマイナスになってしまいます。
サラリーマン大家こそ、利回りは低くても空室リスクの小さい都心の物件を狙うべきです。

3.地方に土地があっても買い換え特例がある

既に少し触れた「事業用資産の買い換え特例」ですが、国内なら地域を問わず適用されるため、地方の土地を売って都心の賃貸不動産を購入したときにも高い効果を得られます。
この特例を使うと、買い換えによって発生した譲渡所得の80%を繰り述べることが可能です。
繰り延べとは、その時点では課税が一旦免除され、本来は費用に当たるものが一時的に資産と認められることです。
この特例がないと、仮に譲渡所得が100万円あったとした場合、そこに20%の税金がかかるので、手元に残る分は80万円となります。

しかし、特例の適用を受ければ、譲渡所得の80%が繰り延べられるので100万円から80%を除いた20万円の部分に対して20%課税される(4万円)だけで済み、最終的に手元に残るお金は96万円となります。
このように、この特例を使用すれば、手元に残るお金が変わるため、新しく取得できる物件の選択肢も広がります。
地方の土地を売って都心で不動産投資をしたほうが大きな利益を得られる可能性が高くなるので、積極的に検討すべきでしょう。

参考:No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3405.htm
※摘要には諸条件がありますので、最寄りの税務署や税理士と相談の上、行うのが安心です。税理士の紹介を行っている不動産会社もありますので、不動産会社に相談するのも一つの方法です。

4.まとめ

地方で不動産投資をするリスクはおわかりいただけたと思います。
既に地方に土地がある人でも、事業用資産の買い換え特例を利用して都心で不動産投資をすることをおすすめします。