【目次】
―増え続ける世帯数
―将来予測は変化する
―驚く勢いで増える単独世帯数
ーまとめ
増え続ける世帯数
日本の人口は、2005年頃から減少局面に入っていますが、その一方で世帯数は伸び続けています。
日本全国の世帯数は、調査開始(昭和43年)以降毎年増加しており、2019年1月時点では、日本人世帯は5,699万6,515世帯(+38万2,516世帯、+0.68%)、外国人世帯を含めると、5,852万7,117世帯(+51万9,581世帯、+0.90%)となっています。かなりの勢いで世帯数は増加していることが分かります。
いうまでもありませんが、住宅需要・賃貸住宅需要予測には、将来、人口や世帯がどうなっていくのか?はとても重要な論点です。
特に、賃貸住宅需要予測では将来世帯数、ワンルーム賃貸物件では単独世帯数が重要になってきます。
将来予測は少しずつ変化する
日本の将来人口・将来世帯数の予測を発表しているシンクタンクとしては、メディアも多く引用している国立社会保障・人口問題研究所が有名です。
この国立社会保障・人口問題研究所ですが、その起源は昭和14年にまで遡ります。旧厚生省の研究機関として発足し、その後1996年に社会保障問題研究所と統合され現在に至っています。
こうした公的機関が予測するデータをもとにメディア等は報道していますが、同じ予測データを定点観測していると変化に気づきます。
人口・世帯に関するデータでもこうした傾向が見られますので、以下見ていきましょう。
図1は、国立社会保障・人口問題研究所が予測している東京都の将来人口です。
青線が2007年に予測した(発表された)もの、赤線が2013年に予測されたもの、緑線は2018年に予測されたものです。
(年は、発表年を示しています。元データは2005年、2010年、2015年の国勢調査のデータをもとに推計。以下3つのグラフとも同様。)
予測時点が新しくなるほどそれほど、日本の将来の人口減少は少しずつ、ゆっくりになっています。(だんだん、右にずれています)。
また、人口減少のスピードはかなり緩やかになります。2040年の人口予測を見ると、2013年予測と2018年予測では、1,400,000人も差があります。
このように、東京の人口減少は2045年にかけては「少しだけ」という予測です。
図1
図をみると、「ほとんど減らない」というイメージが分かると思います。
さらに、大きく予想が異なっているのが単独世帯数の予測ですです。線の色は図1の人口と同じです。
驚く勢いで増える単独世帯数
図2
東京都における単独世帯数は、予測をはるかに上回るペースで増加しています。将来推計が発表されるたびに増え続けており、予測が全く当たっていないという印象です。
2019年推計(2015年の国勢調査を元に推計したもの)では2035年あたりがピークになり、その後僅かに減少との予測ですが、おそらくこれも2020年実施の国勢調査に元づく推計が発表されることには、上方修正されると思います。
それほど、すさまじい勢いで単独世帯が増えています。
都市部で単独世帯数が増える理由としては、何度か本連載でも述べましたが、高齢者夫婦の死別による単独世帯化、生涯未婚率の増加、離婚者数の増加、晩婚化があげられます。
データによると、東京23区においては単独世帯の約7割が賃貸住宅に住むという事です。今述べた単独世帯数が増える4つの理由のうち、高齢者夫婦の死別による単独世帯化を除けば、賃貸住宅需要増につながると思われます。
まとめ
このように、東京都における人口や単独世帯数は、将来予想を大きく上回る見込みです。
こうしてみると、東京都、とくに中心部における賃貸需要は、少なく見ても2050年頃までは底堅いと思われます。