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2020年後に迫る問題とは?<生産緑地が不動産投資へ与える影響>

これをご覧頂いている方の注目の時期と言えば、「2020年のオリンピック以降のマーケット」が大半を占めるかと思います。
今回はその陰で問題視されている「2022年問題」について見ていきましょう。

2022年問題とは?

都市部にある農地が失われ、宅地化が進む可能性が非常に高い問題です。
まずはこの問題の鍵となる「生産緑地」について掘り下げていきます。

生産緑地とは、1991年の生産緑地法改正により、市街化区域内の農地を対象に指定された地区の事です。
都市環境の保全や将来的な都市計画を実現する事を目的に定められ、条件を満たした緑地は、固定資産税や相続税の優遇・自治体からの援助を受けられる事がメリットです。

当時、宅地並みの課税を恐れた首都圏の農家がこの制度を利用しました。
そして現在、指定地区数、面積ともに最も多いのはなんと東京都です。
国土交通省の資料(2017.3.31時点)によると、全国合計(決定面積13,187.6ha・地区数61,836)の内、東京都が面積の約24.4%(3,223.7ha) ・地区数の約18.5%(11,463地区)
を占めます。尚、東京・神奈川・千葉・埼玉の四県で全体の56.8%(7,496.5ha)です。


※データ元:http://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_fr_000028.html (国土交通省)

では、生産緑地が問題となっている理由はなんでしょうか?
生産緑地の指定から30年経過したとき、あるいは土地の所有者が死亡または農業従事できなくなった場合に、所有者は市町村に対し買い取りの申出を行う事ができます。
買い取りの申出に対して、財政負担が難しいという事情から、これまでに申出を受けて市町村が買い取るケースはほとんど無かった様です。
指定解除された農地は固定資産税・都市計画税が宅地並みに課税される事になります。
1992年に最初の指定を受けてから、30年が経過した土地は2022年以降、買い取りの申出が続出する恐れがあります。
しかし、行政は財政難から、土地を買い取る事は難しいでしょう。
すると、大量の土地が市場に出回ります、これが問題視されている理由です。

賃貸住宅の大量供給が起こるかもしれない!?

広い敷地を所有する農家の方は毎年かかる高い固定資産税・都市計画税に悩まされる事になります。既存の市街化区域内農地は賃貸住宅を建てることにより、固定資産税が軽減される為、大半がアパート経営を営まれています。同様に生産緑地も賃貸住宅化する可能性が高いです。
土地持ちの方の高齢化により、相続税対策としてのアパート建設も急増しています。
また、2015年1月の相続税の増税により、これまでの基礎控除から4割減となったことで、相続税の課税対象者が倍増しています。そこで注目されたのがアパート建設です。
生産緑地の指定解除が行われれば、更なる建設増が見込まれる事が容易に想像できます。

今後「生産緑地の指定解除」「低金利による不動産投資への融資増」「相続税対策」といった要因により、賃貸住宅の増加傾向は続いていきます。そうなってくると賃貸市場の競争は激化し、空室が長期化する物件も増えてきます。
最近では、安心とされていたサブリースシステムでさえ、周辺に新しい物件が見境無く建ち上がる事から、賃料維持が難しく、保証家賃を支払えなくなる事が問題となり、多くのオーナー様が泣きを見ることになりました。
数多くのアパートが、元々保有している土地の有効活用を目的に建設しているので、賃貸運用に適した立地条件では無い事が原因です。
こういった事を回避する為に、これから不動産投資を検討している方には、まずは物件選定をしっかりと行って頂く必要があります。会社任せのサブリースシステムに頼らずとも物件としての資産性があり、収益を長期的に生み出すロケーションを選ぶ事が単純にして一番の回避方法です。

下表は株式会社クレアスレント管理物件の空室から入居までの日数を区ごとに出した統計データです。
生産緑地の指定が無い都心5区(港、中央、千代田、新宿、渋谷)の平均は25.63日と一か月経たずに次の入居者が決まっています。
尚、東京23区内の生産緑地の決定面積の広い順にTOP5を挙げると、練馬区、世田谷区、江戸川区、杉並区、足立区 となります。
上記5区の平均賃貸付け日数は、30.99日です。(江戸川区は管理無しの為除外)
現時点では賃貸付け日数に差は無い様に見えますが、練馬区・世田谷区だけで、23区内の生産緑地の約65%を占めています。(23区全体428 ha、練馬区 187.1ha 世田谷区91.1ha)
2022年以降、生産緑地が賃貸市場に影響を及ぼす可能性は十分にあると予想できます。

今後の人口動態を鑑みれば、全体的に人口が減少していくのは明らかであり、
更には「2022年問題」も控えていますので、より慎重な物件選定を行っていく必要があります。

ここまでネガティブな要因を書いてきましたが、そうは言っても東京が日本一安定しているマーケットという事は確かです。
企業本社・大学の一極集中が見込まれており、人口は年々増加していくと予測されています。
一方で、旅客者数の増加を背景としたホテルの建設ブームによって、用地取得が難しく、新築供給が難しいのが現状です。
需要と供給のバランスからもそれは一目瞭然ですが、そういった場所は「金額が高い」と言われ、敬遠されているのも事実です。一方で世界的大都市と比較するとまだまだ利回りとしては高い水準を保っており、日本の不動産価格はもっと上がるのでは?という見解もあるぐらいです。
市況についての見解は様々ですが、賃貸がしっかりと付く物件、出口が見据えられる物件は予測可能です。そこをしっかりと押さえておけば不動産投資は失敗しません。
さらに今回取り上げた「2022年問題」も考慮するのであれば、安定した運用をできる場所は自ずと限られてくると思います。

これから不動産投資を検討される方は、入口の物件選定と運用中の信頼できる管理会社を見つける事が成功への鍵となります。
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