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【2023年10月】首都圏中古マンションの価格乖離率と売却期間の考察

価格乖離率は再び拡大傾向に?

図表1:首都圏中古マンション 価格乖離率の推移


(株式会社東京カンテイ資料より作成)

マンション価格乖離率とは、「中古マンションが売りに出された際の価格(=売出価格)とその物件が成約に至った際の価格(=成約価格)の差額との比率」を言い、『(成約価格―売出価格)÷売出価格×100%』で算出されます。
価格乖離率のマイナス値が縮小すれば、売り手が当初提示した売出価格より売主の希望価格に近い価格で成約し、逆に拡大すれば、成約時の価格が発売価格よりも大きく下がったということを意味しています。

なお、価格乖離率がプラスとなることはあまりないので、集計対象から除外されています。

2022年下期の価格乖離率は、-5.58%で4期ぶりに5%台になりました。首都圏の中古マンションでは、価格乖離率6%台が続いていましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け大きく状況が変わりました。
売却活動が制限されたため、成約価格よりも売却時期を優先した売主が多くいたと見られ、価格乖離率は-7.18%と大幅に拡大しました。
しかし、その後2020年下期以降は、住宅需要が回復したものの、様子見をする売り手が増え、在庫件数が大幅に減少しました。
そのため需要と供給のバランスが「需要過多」の傾向に進み、価格乖離率は-4%台にまで縮小しました。

しかし、乖離率縮小の傾向は長く続かず、価格高騰により売れ残る在庫も増えてきたため、価格乖離率が再び拡大しはじめています。
価格上昇をうけて、強気な値付けの売出価格物件が多くなっていること、また中古マンション価格の高騰に買い手がついていけていないという2つの状況が浮き彫りになっています。

コロナ禍後、売却期間は短縮化の傾向に

図表2:首都圏中古マンション 平均売却期間の推移

次に首都圏中古マンションの売却から成約までの期間(売却期間)を見ていきましょう。
2022年上期には3.11カ月と2期ぶりに3カ月間を上回り、下期には3.22カ月と売却期間が若干長くなってはいるものの依然としてコロナ禍前よりも売却期間が短い状況が続いています。
ただ、先に見たのと同じように、強気な売出価格の物件が増えると、成約までの期間が延びてしまうことが予想されます。