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【2022年12月】コロナ禍で相続税対象者が急増?令和3年分相続税申告状況

令和3年に亡くなった方の18.1%が相続税の申告書提出対象に

図表1:令和3年 相続税申告事績(東京都)


(東京国税局「統計情報」より作成。以下同様。)

12月19日に「令和3年分相続税の申告事績の概要」が東京国税局より公表されました。
東京都では、令和3年における被相続人、つまり亡くなった方の数127,649人のうち、相続税の申告書の提出に係る被相続人は23,130人でした。
「課税割合」は、18.1%で昨年の17.0%よりも1.1ポイント上昇しています。

また、課税価格の総額は前年比18.9%プラスの4兆2,790億600万円、申告税額の総額は7,469億6900万円で、前年よりも24.2%増加しています。
1人当たりの申告税額の平均は3,229万円でした。

相続税対策は早めに動くことが重要

図表2:東京国税局管轄内 課税対象被相続人と課税割合の推移 

図表2は、課税割合と、課税対象相続人数の推移です。新型コロナウィルスがまん延しはじめた令和2年以降、新型コロナウィルスを直接的・間接的に起因とする死亡者数が増加したことで、課税対象となる被相続人数も増加傾向にあります。
節税対策が十分になされないまま亡くなるケースが多かったことが増加の一因であると考えられます。

図表3:東京国税局管轄内 相続財産の金額の推移

最後に相続財産の内訳を見てみましょう。課税対象人数が増えたこともあり、H27年から相続財産も大幅に増えています。昨今では、現金の割合が増えています。
現金で相続すると、その評価額は変わりませんが、その現金を不動産に変えた場合は、評価額を大きく下げることが出来る、つまり節税が出来ます。
また、土地の割合は地価が下落していることもあって減少傾向にはありますが、依然として全体に占める割合は大きい状態です。

更に、先日発表された2023年税制大綱によると、富裕層がこれまで活用してきた「タワマン節税」ですが、「マンション固定資産税評価と実勢価格の乖離に関する見直し」は、「先送り検討」となりましたが、ほどなく、実行できなくなる可能性が濃厚になっています。
相続税は、無縁だと思っていた人も、蓋を開けてみれば相続税の対象になっているというケースもよくあります。
相続対策は早めに実行することによって大きく節税ができる可能性があります。自身が関わる相続税について一度検討してみてはいかがでしょう。