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【2023年2月】人口移動状況から考える賃貸需要

東京23区 昨年の転出超過から一転2022年は転入超過へ

総務省が、住民基本台帳に基づいてまとめた外国人を含む東京23区の2022年年間の人口の動きは、転入が38万4,643人、転出が36万3,233人で、転入が転出を2万1,420人上回る「転入超過」となりました。
コロナ禍の影響で、2021年に14,828人の「転出超過」になったものの、1年で転入超過の動きに戻ったことになります。
これを受けて、総務省は、「一極集中が再び活発になるのか注視したい」としています。ここでは、2022年の東京23区の人口移動について詳しく見ていきましょう。

図表1:東京23区転入超過数の推移(日本人移動者のみ)


(総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」より作成)

上のグラフは、2010年以降の東京23区への転入者数と転出超過数の推移ですが、これを見れば、コロナ禍で状況が大きく変わったことが分かります。
青色で示した転入者数は、リーマンショック後の2009年~2010年とほぼ同水準でしたが、コロナショック後では東京23区からの転出者が増えたため、転出超過数は大幅に減少しています。
2年振りに転出超過にはなりましたが、コロナ前の水準にはまだ戻っていない状況と言えます。

転入者の動向を知ることは賃貸需要を知ること

図表2:東京23区への流入元 男性が占める割合

東京23区に流入してきた人を男女別で見ると、2022 年は38,4643人のうち男性が20,0956人、女性が18,3687人で男性が全体の52.9%を占めました。東京に転入する割合は男性の方が若干高い傾向にあります。しかし、近年では女性の状況割合が全国的に上昇傾向にあります。

東京23区に転入してきた人のち男性の割合を都道府県別で見たのが図表2です。
東日本では、全国平均よりも女性が東京23区に転入している方が多いことが分かります。

東北地方の一部の県では50%を下回わる、つまり女性の方が男性よりも東京23区に転出する割合が多いエリアもあります。

一方で、関西エリアでは、全国平均よりも男性の割合が高い傾向にあります。
また、東京23区に転入してきた方の移住前の都道府県別に、「転入先の区」を見ると基本的にどの都道府県でも、大田区や世田谷区、練馬区など、もともと人口も多いエリアが上位になりますが、それ以降の順位では地域別に特徴が見えてきます。

例えば、城北エリア(豊島区、北区、荒川区、板橋区、足立区)は、東北地方や北関東エリアからの移住者からの人気が高く、また、台東区、墨田区、江東区などの城東エリアは関西圏からの移住者から選ばれることが多いようです。
東京23区に転入してくる人の多くが、東京23区で初めての住居として賃貸住宅を選ぶということは想像に難くありません。
つまり、このように、人口移動の状況をみていくと、どういう層からの賃貸需要があるのかをある程度想定することが出来ます。