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【2022年11月】首都圏新築マンション成約率の考察

買いにくい状態が続く首都圏の中古マンション

図表1:首都圏 年収倍率の推移


(東京カンテイ「年収倍率」より作成。)

年収倍率とは分譲新築マンション価格(70㎡換算)、築後10年の中古マンション価格(同)を平均年収で除し、新築マンション価格が年収の何倍に相当するかを算出したものです。
年収倍率が低いほど新築マンションは買いやすく、反対に数値が高いほど買いにくいことを示しています。
東京都は、新築・中古ともに全都道府県の中でもっとも倍率が高い状態が続いています。

新築マンションの契約率と価格は負の相関

図表2:首都圏新築マンション契約率と成約㎡単価の推移(12カ月移動平均)


(不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向」より作成。)

上のグラフは、契約率と成約㎡単価を、季節要因を排除するために12カ月移動平均で表示したものです。契約率は、当月の売却戸数を発売戸数で除したものです。
成約㎡単価は年々上昇を続けています。2020年1月には超高額物件発売の影響で、平均㎡単価が126.2万円になったこともありました。
成約率も2014年頃までは75%から80%をキープしていましたが、その後低下し、コロナ禍では60%にまで落ち込みました。

この二つの変数の相関係数を算出すると、-0.75で「負の相関関係」が強いことが分かります。
価格が上昇することで手が出しづらいことで、成約率が下がる傾向にあると言えそうです。

図表3:首都圏 新築マンションと中古マンションの成約率(12カ月移動平均)

(不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向」東日本レインズ「月例マーケットウオッチ」より作成)

次に、中古マンションの成約率と比較してみましょう。ここでは、中古マンションの成約率を当月の成約件数を新規登録件数で除した数と定義しています。
これを見ると、上下の振れ幅は違いますが、山や谷は同じような時期に発生しているのが分かります。契約率にはトレンドがあるようです。
そう考えると、2022年10月時点では、新築・中古マンションともに成約率は下落傾向にある様子が見受けられます。背景には、やはり、価格の高騰が一因として挙げられるかもしれません。