不動産投資を検討されている方の中には、「資産価値の下がらないマンションを選びたい」「入居付けに困らないエリアを知りたい」と考えている方が多いのではないでしょうか。
投資用マンションの資産価値を決めるのは「収益力」です。収益力の高い物件を購入できれば、資産価値が下がりにくく、いざ現金化するときにもまとまったお金が用意できます。
この記事では、資産価値の下がりにくいマンションの特徴や借り手のニーズが高い設備について解説します。
これから投資用マンションを購入しようと考えている方は、参考にしてください。
【目次】
1.投資用マンションの資産価値とは「収益力」
2.資産価値の落ちにくいマンションの4つの特徴
好立地
マンションエリアに適した間取り
管理状態が良好
人気の高いマンションブランド
3.賃料とマンションの資産価値の関係性
賃料は年率平均1%下落する
賃料から資産価値を算出する「収益還元法」
4.賃料を維持・高められる設備
5.まとめ
1.投資用マンションの資産価値とは「収益力」
投資用マンションの資産価値とは収益力が大きく影響します。
投資用マンションで言う収益とは賃料収入のことで、賃料を下げなくても入居者を見つけられる物件が、資産価値の落ちにくいマンションといえます。
賃料が下がると資産価値が下落し、売却価格も安価になるのが一般的です。一般的には築年数が経つと賃料が下落すると言われています。
しかし賃料を下げなくても入居者を見つけられる物件、つまり収益性の高い投資用マンションを購入できれば、資産価値の下落を最小限に抑えることが可能です。
2.資産価値の落ちにくいマンションの4つの特徴
投資用マンションの資産価値の維持に最も重要なのは、賃料(収益力)が下がらないことです。
下記の特徴に該当するマンションは、借り手から人気があり賃料が下がりにくいです。
好立地
好立地の物件は値下げしなくても、入居者を見つけやすいです。ただ好立地と言っても、さまざまな意味があります。好立地と呼ばれる物件は以下4つのいずれかの特徴があります。
①人気エリア
入居者が住んでみたいと憧れを持つエリアであれば、賃貸需要が高く、入居付けの苦労が少ないです。
そのため、古くなったからといって賃料の値下げを行わなくても入居者を見つけられ、資産価値の維持につながります。
具体的には恵比寿や代官山、吉祥寺といった元々人気のあったエリアだけでなく、横浜・川崎も有望な選択肢に挙げられます。
不動産投資経験者に「新規で投資を検討しているエリア」をアンケートしたところ、山手線エリアの次に横浜・川崎エリアが選ばれています。
【参考】不動産投資経験者は高騰でも6割が新規投資を検討!次に欲しい物件エリアとは?
②交通の便が良い
近年は「職住近接」の考えから、交通の便の良いマンションの人気が高まっています。交通の便が良いとは以下のことを指します。
「自宅から最寄り駅までの時間は、徒歩何分までが許容範囲か」調査したアンケートでは、8割以上の方が10分以内を許容範囲としているとわかりました。
【参考】地方出身者306人に聞いた!東京でマンションを借りる時に優先することは何?
また交通アクセスがいいとは、自宅から最寄り駅の距離だけでなく、以下の要素によっても決まります。
• 通勤通学の時間が短くなる
• 乗り換えが生じない
• ターミナル駅へのアクセスが良好
現在はタイパ(タイムパフォーマンス)を重視する方が多く、通勤・通学時間を減らせる交通の便が良いマンションに人気が集まっています。
③周辺施設が充実している
マンション周辺にスーパーやコンビニ、ドラッグストアなど施設が充実していると、借り手の需要は高まります。特に都市部に住む若い世代は車を所有していません。そのため徒歩圏内の周辺施設が充実しているマンションの競争力は高いです。
また高齢者やお子さんのいる家庭をターゲットにするのであれば、病院や学校、保育園などが近くにあるマンションも十分に需要があります。
④治安が良好
治安が良好なことも、入居者を集めやすいアピールポイントになります。治安の良いエリアは女性や子育て世帯に好まれるため、治安の悪いエリアよりも高い入居率を見込めます。
特に子育て世帯は頻繁な引っ越しを避ける傾向があり、住みやすい治安の良いエリアを選ぶ傾向があります。
治安の良し悪しは警視庁のホームページで確認が可能です。一度購入を検討しているエリアの治安状況を調べてみてください。
【参考】警視庁「事件事故発生マップ」
マンションエリアに適した間取り
マンションエリアに適した間取り選びも、資産価値の維持に大切です。マンションエリアごとに人気の間取りは異なります。
• 一人暮らしが多いエリア:ワンルームや1K、1DK、1LDK
• ファミリー層が多いエリア:2LDKや3LDK
エリアごとの需要の高い間取りを見つけるためには、どのような属性の方が住んでいるのか、どのような間取りのタイプが多いのかを確認しましょう。
管理状態が良好
マンションは「管理を見て買え」と言われるほど、管理状態は重要です。
管理が適切に行われている物件は、築年数が経っていても外観だけでなく、設備などもしっかりしているため、余分な修繕費がかかりにくいためです。
同じ築年数のマンションに比べ管理費が低い場合は、適切な管理が行われていない可能性が高いです。
管理状態を確認する際は以下のことをチェックしましょう。
• エントランスやゴミ捨て場などの共用部の清掃状況
• 外壁や設備の補修状況
また管理状態を調べる上では修繕積立金も重要です。一般的に修繕積立金は、築年数が経つにつれて増えていきます。
修繕積立金は12年~15年程度に一度の大規模修繕にも使用されます。積立修繕金が安いと、必要なお金を貯められていないことも考えられます。
修繕積立金が貯まっていない場合、大規模修繕を行えないまたは、管理組合が金融機関から借入れを行う可能性が高いです。
大規模修繕を行えないと建物の見栄えの悪化や設備不良で、入居者を集めにくくなります。
また管理組合が借り入れを起こすと、積立修繕金が増額される恐れがあり、資産価値は下がるのが一般的です。
そのため管理状態をチェックする際は、マンションの外観をはじめとした目に見える部分だけでなく、修繕積立金の額、管理組合がお金を貯められているかも確認しましょう。
人気の高いマンションブランド
洋服や車にも人気のブランドがあるように、マンションにも人気の高いマンションブランドがあります。
人気の高いブランドマンションは、市場での需要が高いため資産価値が下がりにくいです。人気のあるマンションブランドとは以下のことを意味します。
供給棟数が多い
ブランドコンセプトがしっかりしている
供給棟数の多いマンションブランドは、それだけ認知度が高く借り手の需要も高い傾向があります。
賃貸マンション検索サイトや街中でよく目にするマンションブランドは供給棟数が多い傾向にあります。
ブランドコンセプトとは、どのような客層をターゲットにしているか、コンセプトがしっかりしている物件のことを意味します。
例えば、「富裕層向け」「ファミリー層に特化」「高所得の単身者に特化」などが該当します。
ブランドコンセプトが定まっているマンションは、借り手のニーズを掴みやすく、入居付けに強いため賃料を維持しやすい傾向があります。
3.賃料とマンションの資産価値の関係性
賃料とマンションの資産価値には強い関係性があります。前述した特徴を持つマンションは需要が高く賃料が下落しにくいため、売却価格も下がりにくいです。
ここでは、より詳しく賃料とマンションの資産価値の関係性について説明します。
賃料は年率平均1%下落する
総務省の調査データの推移によると、賃料は年率平均でおよそ1%ずつ下落しています。
上記の表は、2014年〜2017年の平均築年数の前年差を考慮した家賃の変化率です。
建物構造や共同住宅または一戸建で多少の差はありますが、1年経つごとに賃料はおよそ1%ずつ下落することがわかります。
つまり、購入する物件によっては対策を講じないと、年々マンションの資産価値が低くなっていく可能性が高い事を意味しています。
しかし前項で紹介した特徴を持つマンションは借り手の需要が高く、築年数が古い物件であっても入居付けに苦労するケースは少ないでしょう。
たとえばクレアスライフが提供しているマンションブランド「コンシェリア」の平均の賃料変動率は、-0.26%と一般的なマンションよりも低い下落率でした。
また1年あたりの空室日数は平均3.2日と、ほぼ満室稼働を実現しています。
賃料から資産価値を算出する「収益還元法」
賃料の下落が資産価値にどの程度影響を与えるのかを示すために「収益還元法」を解説します。
収益還元法とは、賃料からマンションの資産価値を割り出す方法で、投資用マンションの価格を決めるために用いられる計算方法です。
計算式は「年間賃料÷還元利回り=資産価値」です。
還元利回りとは、そのエリアや物件に投資家が期待する利回りで、キャップレートとも呼ばれます。
下記の条件をもとに収益還元法で資産価値を算出してみましょう。
• 年間賃料120万円(月間10万円)
• 還元利回り3.8%
「年間賃料120万円÷還元利回り3.8%=資産価値およそ3,160万円」となります。
仮に還元利回りは変わらず、年間賃料が10年間で1%ずつ下落し108万円(月間9万円)になった場合の資産価値はおよそ2,842万円です。
他方で年間賃料が10年間で0.26%ずつ下落し116.9万円(月額9.74万円)になった場合の資産価値は、およそ3,076万円です。
10年間1%ずつ賃料が下がると、資産価値はおよそ318万円も低くなります。一方で賃料の下落が0.26%の場合、資産価値の下落は84万円に抑えられました。
したがって賃料が下がりにくい物件を選べば、資産価値は下がりにくいと言えます。
また10年間で1,100万円以上の賃料収入もあります。そのため、年間賃料の下落が0.26%の物件は10年間で1,000万円の利益を出したと言えます。
4.賃料を維持・高められる設備
弊社のアンケートをもとに、賃料の維持または高められる設備を以下3つ解説します。
【参考アンケート】
賃貸マンションに求めるのは広さより収納と基本的な設備!?~都心の賃貸ワンルームマンションに住む142人にアンケート調査~
賃貸マンションにあってうれしい設備は「無料WiFi」がダントツ!?~都心の賃貸ワンルームマンションに住む142人にアンケート調査~
最も嬉しい設備は「無料Wi-Fi」
都心のワンルームマンションに住む142人に実施したアンケートによると、賃貸マンションにあったら嬉しい機能は「無料Wi-Fi」で、86.80%の方から選ばれました(複数回答あり)。
総務省の「令和4年通信利用動向調査の結果」によると、20代〜50代のスマホ所有率は9割を超えています。
また20代〜50代の9割以上がインターネットを利用しているとの調査結果が出ました。
現在はニュースや天気予報の確認、飲食店の予約、友人知人との連絡はほとんどの方がスマホで行うのが一般的です。
またコロナ禍以降テレワークを導入する企業が増え、自宅でパソコンを使う方も増えました。
このようにプライベート・仕事上でもネットを使うことは一般的になっており、通信量を気にせずに済む無料Wi-Fiの需要は非常に高まっていると考えられます。
ウォークインクローゼットをはじめとした収納スペース
1Kタイプの部屋を借りる場合「7畳+大型ウォークインクローゼット」と「8畳+通常クローゼット」どちらに住みたいかというアンケート調査では、7割以上の方が「7畳+大型ウォークインクローゼット」を選んでいます。
特に一人暮らしの用のワンルームや1Kに住む方は、収納に悩みを抱えているケースが多く、部屋が狭くなっても広い収納スペースを求めていることがわかりました。
また収納スペースが広いと、自身で棚やラックを設置する手間がなくなることも魅力です。
部屋の広さよりも最低限の設備を重視
「部屋の広さと浴槽」「部屋の広さキッチン」それぞれどちらを優先するかというアンケートでは、下記の回答を得られました。
• 部屋を狭くしても浴槽が欲しい方は76.8%
• 部屋の広さよりもキッチンを求める方は95.1%
現代は銭湯が少なくなっており、自宅に浴槽がないと湯船に浸かることが難しいです。
そのため7割以上の方が部屋を狭くしてでも浴槽が欲しいと回答したと考えられます。
またキッチンを求める方は9割を超えました。このアンケートでは電気コンロや流し台もないという極端な条件設定をしたため、部屋の広さよりもキッチンを求める方が大多数を占めています。
近年は節約や健康意識の高まりから自炊する方が増えています。
そのため、部屋の広さよりも最低限の設備が整ったマンションを選んだ方が資産価値は下落しにくいと考えられます。
5.まとめ
投資用マンションの資産価値とは収益力で、賃料を下げなくても入居付けに苦労しない物件が資産価値の高いマンションです。
資産価値の落ちないマンションを選ぶ際は、この記事で紹介した特徴に加え、以下の基準も持つことをおすすめします。
• 自分が住みたい物件か
• 借り手のニーズを想像できるか
自分の住みたい物件であれば、借り手も「住みたい」と考えてくれる可能性が高いです。また借り手のニーズを想像できれば、適切なマンションを選べ、入居付けに苦労することがなくなります。