「貯蓄から投資へ」「貯蓄から資産運用へ」といった言葉が広まり始めてから、20年ほどが経ちました。
かつては縁遠い話に思えた資産運用も、「人生100年時代」「年金への不安」といった現実を前に、誰にとっても無視できないテーマになりつつあります。
特に最近は食料品などをはじめとした物価の高騰が話題となっており、「将来のために何か始めなければ」と感じている方も少なくないでしょう。とはいえ、資産運用といっても方法はさまざまで、自分に合ったものを見つけるには一定の知識が必要です。
この記事では、今から始められる資産運用のヒントをまとめてご紹介します。
1.老後の資金が足りない?資産運用の必要性
長寿化が進む中、老後資金への備えとして資産運用が注目されています。その背後には、どのような事情があるのでしょうか。
人生100年時代へ
日本では平均寿命の延びにより、「人生100年時代」が現実的なテーマとなっています。2007年に日本で生まれた子どもの約半数が107歳より長く生きるという試算もあり、「老後」と呼ばれる期間はこれまで以上に長くなりつつあります。
老後に必要とされる生活費は、最低でも月22万円、ゆとりある生活を望む場合は35万円以上とされており、旅行やレジャーも含めると月45万円程度が必要になるケースもあります。
多くの資金が必要になる老後に備え、早めに準備を始める必要があるといえます。
老後の生活資金に関する現状については、以下の記事でより詳しく解説しています。

リスクに備えた資産運用が必要
長寿化にともなう経済的リスクに備えるためには、安定した収入源を確保する工夫が欠かせません。定期的な収益を生む仕組みを持っておくことで、万一の収入減や予想外の支出にも柔軟に対応できます。
重要なのは、「いくら必要か」を見積もって準備を始めるだけでなく、長寿化を見越して「定期収入が入る」運用を視野に入れて行動することです。貯蓄と運用をバランスよく組み合わせ、中長期的な視点で備えていくことが、安心できる老後につながります。
2.自分に合った投資を知る
投資には株式や投資信託、債券、不動産などさまざまな種類があります。
各投資手法はそれぞれリターンの大きさや必要な知識、リスクの度合いに違いがあるため、向いている投資は人によって異なります。
短期で利益を狙いたいのか、長期で安定的に資産を築きたいのかなど、自分の目的や性格に合った選択が重要です。
各投資手法の特徴と、自分に合った選び方についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

3.【20代~40代】今からできる資産運用
年金制度は今後も一定の仕組みで維持されるとされていますが、将来的な受給額の減少やインフレの影響を考慮すると、年金だけで老後をまかなうのは難しくなる可能性も想定されます。
20代~40代の方は、将来のゆとりある生活を見据えて早い段階から資産形成に取り組むことが現実的な備えとなります。
例えば個人向け国債や投資信託、不動産投資など、若いうちから取り組みやすい方法もいくつかあるため、自分に合ったものを選びましょう。
それぞれの特徴や選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

ライフイベントとのバランスが重要
資産運用は、結婚や出産、転職などのさまざまなライフイベントを考慮しながら進めることが大切です。
生活費に無理のない範囲で積み立てを行う、少ない自己資金で副収入を生み出せる投資などを活用するなど、状況に合わせてバランスを取ることが重要です。
4.【50代~60代】今からできる資産運用
定年が近づくにつれ、老後の生活費に対する不安を感じる方が増えてきます。
公的年金や退職金だけでは足りないかもしれないと感じたら、今からでも実行できる年金対策・資産運用を検討してみましょう。
年金の受給方法の見直し、支出の最適化、現金だけでなく株式や不動産など複数の資産を組み合わせるなど、早いうちから始められる備えは複数あります。
50~60代向けの資産運用については、以下の記事でご紹介しています。

5.不動産投資は資産運用として有効か
不動産投資は、将来の年金不安などを背景として、多くの方が実践している資産運用方法です。実際にはどの程度有効性があるのでしょうか。
過去に行ったアンケート調査によると、不動産投資を始めた目的は「年金対策」が45.9%で最多でした。
さらに、投資を始めた後も目的の変化がなかったという回答が約7割を占めており、不動産投資が年金対策として継続的に機能していることがうかがえます。
アンケート調査の詳細は以下よりご覧になれます。

不動産投資の効果①安定的な収入
不動産投資の大きなメリットは「家賃収入という形で安定的な収入が得られる」という点です。
特別な知識がなくても取り組みやすく、本業と並行して行っている会社員や公務員が多い点も安心材料といえるでしょう。事前に資金計画を立てておけば、自分のライフスタイルに合った運用が可能です。
不動産投資の効果②将来への不安を軽減できる
病気や介護といった予期せぬ支出に備えて、収益を生み出す資産を持っておくことは安心感につながります。
物件の価値が維持されていれば、必要に応じて売却し現金化することも可能です。経済的な自由度を高めるうえでも、不動産は頼れる存在です。
6.まとめ
「人生100年時代」と言われる現代、少子高齢化や年金不安、物価上昇といった社会背景を受けて、将来の生活に備えた資産運用の必要性はますます高まっています。
これまで「貯金だけで何とかなる」と考えていた方も、安定した老後のために、今一度お金の働かせ方を見直すことが求められているのではないでしょうか。貯蓄がいくらあれば足りるかを見積もるのが難しくなり、「老後に得られるまとまったお金」よりも「老後も長期的に収入を得られる仕組み」を持つことが求められるようになるかもしれません。
そして、長期的な安定収入を目指す選択肢として、不動産投資を視野に入れるのも一つの方法です。家賃収入という形で定期的な現金収入が得られるほか、資産としての現物価値も残るため、年金や預貯金だけでは補いきれない部分をしっかりカバーできます。
今後の資産形成において大切なのは「まず一歩を踏み出すこと」です。将来に備えた資産運用を、できるところから始めてみることをおすすめします。