不動産エコノミストが語る 不動産投資の必須思考

キャピタルゲイン狙いのワンルームマンション投資

目次

―キャピタルゲインとインカムゲイン
―ワンルームマンション投資におけるキャピタルゲイン
―ワンルームマンション投資で狙う人が少ない?
ーキャピタルゲインを得やすいワンルームマンション選び方

マンション系の不動産投資を行う個人の方の多くは、賃料収入(インカムゲイン)を得ることを目的として物件を購入される方が多いと思います。
とくに、保有資産数が少ない方は、「一度買うと、ずっと持っている」という方が多いようです。

しかし、不動産投資においては、インカムゲインとキャピタルゲインの2つの収益を狙うことが重要です。
購入した物件を手放すかどうかは状況を見て決めるとしても、「キャピタルゲインを狙える」物件選びは必須となります。
今回は、ワンルームマンション投資でキャピタルゲインを狙うことについて考えます。

キャピタルゲインとインカムゲイン

どんな投資でも、投資家の狙いはキャピタルゲインとインカムゲインに分けられます(ちなみに、金等のようにインカムゲインがない投資もあります)。
キャピタルゲインとは資産価格の上昇による利益で、売却して初めて得られる収益です。
インカムゲインとは、資産を保有していることで発生する収益で、株式投資では配当にあたり、預金や債券等の利息、投資信託の収益分配金等の利益です。
不動産投資においては、キャピタルゲインは所有物件の売却益で、インカムゲインは賃料収入です。

ワンルームマンション投資におけるキャピタルゲイン

建物が備わる不動産(例えば、マンションやビル…)においては、基本的に建物は劣化しそれに伴い価値が下がることになっています。
そのため、減価償却費が計上できるわけです。しかし、実際に売買される価格は、どの物件も年を追うごとに下がっていくわけではありません。

例えば、5年前に4000万円で購入したワンルームマンションが4500万円で売れるということも充分可能性があります。
この例では、4500-4000万円=500万円がキャピタルゲインとなります(注:ここから、税金や手数料などがかかります)。
不動産の価格は基本的には需給バランスにより決まります。多くの買い手がおり、供給が少なければ価格は上昇に向かいます。もちろん、その逆の可能性もあります。

ワンルームマンション投資で狙う人が少ない?

ワンルームマンション投資を行っている方の多くが、「賃料収入」や「節税(所得税・相続税など)」、「将来の私的年金」などを目的としているようです。
そのため、キャピタルゲインを目的にしている方は少ないようですし、各デベロッパーの担当者もあまり大きく謳わないようです。
「一度買うと永続的に所有する」と、最初から決めて買う方が多いとは思いませんが、実際に、「仮に高値がついても」売ろうと思う方は少ないようです。

逆に、売却しようとしても、買った値段より大きく下がった評価にしかならず、残債の方が多くなってしまえば、「売ろうにも売れない」ということになります。
物件を売却したいと思うタイミングは、

1)価格上昇がハッキリしており、利益確定をしたいとき(キャピタルゲインを得たい) 

もしくは、

2)他の資金用途ができた時

ということが多いのではないでしょうか。

特に2)の場合は、急いで売却したいと思う時でしょうから、こうした時に「残債の方が多い…」とはなりたくありません。
実際、資産目減りの大きな投資用マンションもあるようなので、厳選して物件を選ぶ必要があります。

キャピタルゲインを得やすいワンルームマンション選び方

キャピタルゲインが得られるワンルームマンションかどうか(プラスが出るかどうか)は、不動産市況や需給バランスに寄ることが大きいため、資産価値の下がりにくい物件を選ぶという考え方をします。
需要を考えると、まずは若年層単身世帯人口が多く、これからも増える見込みの地域、東京都心などの物件であること。
そしてキャピタルゲインを狙うのなら、都心の超一等地と呼ばれるエリアに絞るといいでしょう。
また、所在地のアドレスもしくは最寄り駅名のブランドイメージも重要です。駅からの徒歩時間ですが、概ね7分以内がいいと思います。

こうした投資用ワンルームマンションの値段はかなり強気の価格設定になっており、購入を迷う方もいるかもしれません。
ただ、格安だけど資産目減りする物件と、高価格だけど資産上昇可能性がある物件なら、どちらを選ぶべきか?を自問自答してみるといいと思います。

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不動産エコノミスト
一般社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産エコノミスト 吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。 (株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職. 不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。