不動産エコノミストが語る 不動産投資の必須思考

主な住宅関連指数はどれもプラス! データでみる東京のレジデンス投資の活況ぶり

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2020年は春先から新型コロナウイルの影響が色濃く出た年になりましたが、業界関係者と話をしていると、「不動産投資の中でも特に住宅関連が特に好調だ」という声が聞こえてきます。
毎日のように不動産や住宅に関するデータ見ますが、確かに数字をみても好調ぶりが伺えます。今回のコラムでは、東京におけるデータを見てみましょう。(データは11月末現在最新のものです。)

国土交通省:不動産価格指数

国土交通省が毎月末に発表する不動産価格指数は最新の8月分では、東京都の住宅総合は125.3(前月比0.7%上昇)、戸建住宅は105.9(前月比0.2%のプラス)、区分マンション153.1(前月比1.1%のプラス)となっています。
この指数は2010年の平均を100として計算(季節調整値)されています。この10年で東京のマンションは、平均して1.5倍になっているという事で、都心一等地ではそれ以上の値上がりとなります。
また戸建と比べてマンションの値上がりが圧倒的なことがわかります。

国土交通省:既存住宅販売量指数

次は国土交通省が毎月末に発表する既存住宅販売量指数です。こちらは移転登記情報を元に算出されているもので、現在の指数は試験段階ということになっています。(このデータも2010年の平均が100として計算されています。)

最新の8月分のデータでは、南関東の合計(東京だけというデータは公表されていません)が108.2(前月比3.4%のプラス)、区分マンション全体では110.0(前月比6.0のプラス)マンションマンションの30平方メートル未満を除いた指数は100.3(前月比6.2%のプラス)。となっています。プラスが続いています。

日本不動産研究所:住宅価格指数

次は、不動研住宅価格指数です。かつて東証が発生していた、東証住宅価格指数が名前を変えて今は、この指数となっています。
こちらは既存マンションの販売に基づいた指数でアメリカのケースシラー指数と同じ算出方法で(アメリカの場合は既存戸建のデータを使います。)、2000年1月を100として計算されています。
2020年9月分では、東京都は105.59(前月比0.76%のプラス)となり1年前2019年9月と比較すると、5,07%のプラスとなっています。新型コロナウイルの影響で2020年4月だけは僅かに下がりましたが、5月以降は連続してプラスになっています。



このように、どのデータをみても住宅の市況は好調のようです。

逆に詳細の数字はここでは述べませんが、商業関連の指数やオフィス関連の指数は連続して下落しています。
大型ビルは表立って公表していませんが、オフィスビルの退去は加速度的に増えているようで、新規入居の斡旋のために、近年はあまり見られなかったフリーレントを半年間などと大盤振る舞いをしているようです。
先日銀座~築地辺りを歩いていると、「フリーレント半年に加えて移転に関する費用の一部負担」と書かれた看板を見つけました。オフィスビルは都心の一等地でもかなり苦戦しているようです。

不動産投資マネーがレジデンスに向かう?

すでに起こり始めているようですが、「オフィスビルや商業地の苦戦が長引きそうだ」という投資家の目論見により、不動産投資マネーがオフィッス系や商業系に向かず、レジデンス系(賃貸マンション)に向かい始めているようです。
こうした傾向はしばらく続くものと思われます。そうすると、賃貸マンション(一棟、区分ワンルームとも)の価格は上昇可能性があると思われます。

不動産エコノミスト
一般社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産エコノミスト 吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。 (株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職. 不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。