不動産エコノミストが語る 不動産投資の必須思考

コロナショックで持ち家についての考え方が変わる?(2020/6/2)

6月に入り少しずつ、日常生活が通常に戻りつつあります。
学校の再開、飲食店は時短モードでの再開、企業も徐々に通常モードに戻し、朝の通勤電車の人混みもだいぶん戻ってきました。
これまでの人類の歴史を振り返ってみると、完全に撲滅した疫病は天然痘のみ(WHOが1980年に完全撲滅宣言)です。
つまり、その他のウイルス(インフルエンザ、はしか…)とは人類は抗ウイルスを開発して、共存してきたわけです。
今後我々は、「新型ウイルスと上手く共存する」ことになるわけです。

【目次】

―ワンルームマンション投資においては、ネガティブにみても一時的に留まる
―持ち家比率が大きく下がる可能性

ワンルームマンション投資においては、ネガティブにみても一時的に留まる

コロナウイルス騒動が始まって、はや4か月。緊急事態宣言が出てからは2カ月が経過しました。
毎日のように不動産関連ビジネスに携わっている方と連絡のやり取りがありますが、4月・5月は営業活動などを自粛されていたようですが、それでも特に住宅系ビジネスの方々は、「感触的には、コロナウイルが広がる前と景気観に大きな変化はない」というコメントをされています。
一時的には、「今じゃないかな」というムードに流されて、やや落ち込む可能性がありますが、特にワンルームマンション投資市況においては、元のムードに戻るのに、そう時間はかからないと思います。
 
しかし、コロナショックは、多くの国民に大きなインパクトを与えました。特に戦後世代にとっては、「かつてないほどの社会的なインパクトある出来事」だったと思います。
そうなると、人々が生きていくのに欠かせない衣食住に大きな変化がもたらされることでしょう。
ここからは、コロナショックで「持ち家についての考え方」が変わる可能性について考えてみたいと思います

持ち家比率が大きく下がる可能性

図は、1988年と2018年の持ち家比率について年代ごとにまとめたものです。
青は1988年、オレンジは最新の2018年の数字です。持ち家比率は5年ごとに総務省が調査・集計しています。
図を見ると、持ち家比率はこの30年で大きく低下していることが分かります。もともと20代は低いのですが、近年は晩婚化が進み更に低くなっています。
特筆すべきは、30代・40代がこの30年で著しく低下していることです。
つまり、いまの現役世代の多くは、「生涯賃貸住宅暮らし」という方が増えているわけです。

その理由として、
1) この先の労働条件・雇用環境が心配
2) もし近隣トラブルがあれば、面倒 
といったネガティブな理由があります。

しかし、近年増えてきている理由は、
賃貸住宅の質の向上により、「賃貸住宅で充分」という方も多いようです。
共働き世帯等では、郊外に暮らすよりも、職にも、日々の暮らしにも便利な都会に住みたい、「だったら、都心の賃貸がベスト」ということで、広めのワンルームや1LDKに住むカップルも増えています。

さらに、ここ10年くらい増えている思考としては、「大きなローンをかかえずに身軽に過ごしたい」というものです。
就職に不安、賃金に不安というものではなく、「趣味などにもっと自由にお金を使いたい」というポジティブな考え方です。
この考え方は、新型コロナウイルによるスショックを経験すると、加速するように思えます。
自粛期間に「今後どのように生きるべきか?」 「自分にとっては何が最も大切な事か?」など、これからの自らの生き方について、真剣に考え方も多かったと思います。
その答えとして、「ローンに縛しばられたくない」、「身軽な住まい方を求めたい」と思う方が増えると思われます。
そうなると、これからは、さらに持ち家比率が下がる可能性が出てきそうです。つまり、賃貸住宅需要、特に若い人が好むワンルームマンションの賃貸需要が一層が高まる可能性があると言えるでしょう。

不動産エコノミスト
一般社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産エコノミスト 吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。 (株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職. 不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。