不動産エコノミストが語る 不動産投資の必須思考

トークン不動産投資の登場とワンルームマンションの資産価値が下がりにくい理由

―ブロックチェーン技術を使った不動産投資の登場
―トークン不動産投資とは?
―トークン不動産投資のメリットとネガティブポイント
―ワンルームマンションの資産が下がりにくい理由

ブロックチェーン技術を使った不動産投資の登場

ブロックチェーン技術を活用した不動産投資の仕組みが登場し、最近ではニューヨークの物件や日本の富士山近くの物件などがメディアで報じられました。
この仕組みは、「トークン不動産」と呼ばれ、国内、海外で少しずつ組成されています。

1月16日の日経新聞では、「米国で仮想通貨などの基盤技術であるブロックチェーン(分散型台帳)を使った不動産投資が登場している。
物件を裏付けとしたトークン(デジタル権利証)を投資家が受け取り、賃料収入や売却益を得る仕組みだ。投資家が簡単な手続きで購入できるメリットがあるが、トークンの売買の流動性など課題も多い。」と報じられました。

トークン不動産投資とは?

トークン不動産とは、物件を裏付けとしてトークンを発行し、資金調達を行うことで建設される不動産のことです。
上記記事によると、「米証券のプロペラー・セキュリティーズがテクノロジー会社のフルイディティと組み、不動産を担保にしたトークンを発行。
投資家から約3000万ドル(約32億円)の資金を集めることに成功した。ニューヨーク・マンハッタン初のトークン不動産となる。」 とあります。(日経新聞HPより、引用)

また、日本でも、不動産事業を展開する「RAX Mt. Fuji合同会社」が、FUJIトークンを発行することを発表した。
物件のフリーキャッシュフローのライツ(権利)をトークン保持者に与え、物件に関する書類、契約、経費、配当金、その他発生した関連情報はすべてブロックチェーンで確認可能となっているようです。

トークン不動産投資のメリットとネガティブポイント

トークン化された不動産投資におけるメリットと懸念点を挙げておきます。

実物不動産投資に比べて優位性があるのは、以下の点です。
・手数料・税金などがかからない。
・世界中のトークンを購入できる。
・手続きが簡単。
・サーバを分割しているため、ハッキングやデータ改ざんに強い。

逆に懸念点とされているのは、以下の4点です。
・仲介会社による保証がないため流動性がなくなる可能性がある。
  →つまり、現状では将来的に売買できない。
・ブロックチェーンのシステムそのものが間違っている場合には間違ったデータが導入されうる。
・匿名性が高い。
  →マネーロンダリング目的で使用される可能性がある。
・機密性が低い。
  →大規模な取引情報を基に、金融取引や各種プロジェクトの情報が推測され得る。

まとめると、利便性は高く、国際的な不動産取引につながるという面で将来性は大きいですが、安全性・安定性が低く、資産運用の手法としては未だ危険だといえます。
そのため、より精度の高いブロックチェーン技術の選定と、柔軟性に富んだ法制度の制定が課題とされます。

なぜ、ワンルームマンションの資産価値は下がりにくいのか?もう一つの理由

トークン不動産は話題性があって業界でも注目されていますが、まだ数少ない状況です。
先に述べたように、法制度が整備されていない、税についても見解の分かれる部分がある、といった行政サイドの対応がまだである事が、その大きな理由です。
特に大手企業が参入しないのはこの事が理由だと思います。

さらに、「やり取りが楽、そして世界のどこからでも買える」と述べましたが、それはスタート時においての事で、将来的に売却したいと思ったときには、権利を売買する仲介会社が、現状では存在しません。
いつでも、どこでも売り買いできるセカンダリーマーケットがないのです。
J-REITの投資口なら、ネット証券などを使えばあっという間に売れます。
また、例えばワンルームマンションのような投資用の不動産も、それほど時間がかからず売却することができます。
仲介してくれる会社や買取専門の会社があるからできるのです。また、投資用ワンルームマンションはニーズが多く、セカンダリーマーケットでも売りやすいのが特徴です。
言うまでもありませんが、このような活況なセカンダリーマーケットの状況は、資産価値が下がりにくいという好循環を生むことになります。
一方、一棟モノの投資マンションの場合は、金額が大きいので、ワンルームマンションのようには簡単には売れません。

不動産だけでなく様々な投資を行う時には、その資産を実際に手放すかどうかに関係なく、資産価値の維持向上のためには、適切な売買市場が存在するかが大きなポイントとなります。
この観点から述べると、投資用の不動産では、ワンルームマンションが最も優位にあると言っていいでしょう。

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産エコノミスト 吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。 (株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職. 不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

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