―不動産投資リスクとの向き合い方
―不動産投資における収益シミュレーションの重要性
―Excelで収益シミュレーションを作成する3つ(+1)のメリット
―実際にExcelで収益シミュレーションを作成してみる
―収益シミュレーションを作成する際の注意点
不動産投資においては、収益シミュレーションが肝と言っても過言ではありません。
収支のイメージをつけ、リスクを事前に想定しておくためにも非常に重要です。
今回は、不動産投資の収益シミュレーションをExcelで、作成する方法をお伝えします。Excel初心者の方でもできるような内容ですので、ご安心ください。
不動産投資のリスクと向き合っているか。
不動産投資には様々なリスクがあります。
・空室リスク
・家賃下落リスク
・金利上昇リスク
・家賃滞納リスク
・災害リスク・・・
などなど、考えれば考えるほど、不動産投資デビューを躊躇してしまいそうです。
しかし、そのように始める前からリスクと向き合っている方は、ある程度リスク管理が出来る素質があると言えます。
もっと言えば、リスクを具体的な数値として把握されている方は、いざそのような事態が起きたとしても適格なアクションを起こせるでしょう。
そこで必要なのが、不動産投資の収益シミュレーションです。
後程、具体的にExcelを使ってリスクを想定する方法をお伝えしますが、まずはシミュレーションの重要性につてお伝えします。
不動産投資では収益シミュレーションが重要
不動産投資において収益シミュレーションは非常に重要です。
「駅近だから空室は起きないだろう。」
「万が一金利が上がったとしても、これだけキャッシュフローがあれば大丈夫だろう。」
「このエリアなら家賃は下がらないだろう。」
など、感覚だけで不動産投資物件の購入を決めてしまうのは非常に危険です。
そうではなく、しっかりとシミュレーションをすることで、具体的な数値で収支をシビアに見みたり、空室や家賃下落といった悪い事態を想定したりすることが出来ます。
それでは、どうやってシミュレーションをしたらいいのでしょうか。不動産会社に依頼すればシミュレーションを作成してくれます。
ただ、リスクと向き合うには、自分でシミュレーションを作成し、様々な状況を把握しておくことが重要になります。
自分でシミュレーションを作成と聞くと途方もないような気がしますが、具体的には、Excelを使用して気軽に作成できます。
Excelでシミュレーションを作成する3つ(プラス1)のメリット
自分でシミュレーションを作ることのメリットは3つあります。
まず1つ目のメリットは、先程もお伝えしたように様々なリスクを想定出来るということです。
例えば…
10年後に家賃が下落したら…?
金利が今の1.5倍に跳ね上がったら?
など、考えられるリスクに対してシミュレーションしておけば、その物件は本当に購入すべきなのか、もしくは、購入したあとそのような事態が起きたらどういうアクションをとればいいかなど事前に把握しておくことが出来ます。
次に2つ目のメリットとして、繰上げ返済の目標を明確にすることが出来ます。
不動産投資をする目的にもよりますが、出来るだけ早くローンを返済して家賃収入を丸々得たいと考えている方にとっては、繰上げ返済は重要なアクションになります。
その繰上げ返済に対して、どれくらいの効果が得られるか、期間をどれだけ短縮できるかなどをExcelシミュレーションで把握することが出来ます。
最後の3つ目のメリットは、自分の手を使ってシミュレーションを作成することで、不動産投資についての理解が深まります。これは最大のメリットと言えるかもしれません。
不動産投資に関する様々な本を読んで、いくら勉強したからといって、実際にスタートしてみないとどれだけの効果が得られるのかは、実感が沸かないと思います。
しかし、ゼロからExcelでシミュレーションを作るということは、ローンの原理や数字の組み立てを理解しなければ出来ないことなので、不動産投資の基本を自ずと押さえることが出来ます。そして、それだけ自分でやった後に決めた物件に関しては、自信を持ってスタートできるのではないでしょうか?
また、副産物としてExcelのスキルを向上させることが出来るという点もまた1つのメリットです。
Excelはビジネスの場では非常に重要なツールなので、習得出来れば一石二鳥と言えるかもしれません。
実際にExcelでシミュレーションを作成してみよう
それでは、実際にExcelで不動産投資のシミュレーションを作成してみましょう。
Excelに不慣れな方は、まずはその使い方などを学ぶ必要があります。学ぶと言っても、わからないことがあればインターネットで検索すればすぐに答えが見つかる時代です。
特に専門の本が必要という程ではありません。
基本的な要素として、最低限以下は始める前に理解しましょう。
関数:目的の計算をするためにあらかじめ用意されている数式
よく使う記号
*:掛け算(「×」)
/:割り算(「÷」)
$:絶対参照
絶対参照とは、あるセルに入力した計算式を別のセルにコピーするとき、コピーした位置に応じて計算式内で参照しているセルの番地を変化させないようにするために使う記号です。
それでは実際にサンプルを見てみましょう。
まずは、ローンの基本について理解を深めましょう。
毎月の返済額ですが、これは計算が難しいのでPMT関数に頼ります。
PMT関数とは、利率が一定であると仮定した場合の、元利均等の毎月の支払額を計算してくれる関数です。
具体的には以下のようになります。
毎月の返済額=PMT(金利/12,返済期間,借入額)
一般的に金利は年利で表示されています。なのでこの関数の金利は月利割り戻す必要があるにするために12で割ります。また、返済期間も月に合わせるために借入年数を12倍しましょう。これを入れるだけで、毎月の返済額が瞬時に算出されます。
次に、月々の返済額の内訳ですが、利息と元金で成り立っています。利息は以下の計算式で算出されます。
利息=その時点での残高借入残高 × 金利
つまり今回の場合だと、初回(8行目)は、2400万円×2%÷12=4万円
2回目だと、その前月の借入残高に月利をかけるようになります。
そして、元金についてはシンプルに返済額から利息分を差し引きます。その月の借入残高に関しては、前月の借入残高から当月の元金充当分をマイナスします。
以上で基本的なシミュレーションが出来ました。これをもとに、金利が変更した場合、繰上げ返済をした場合など、様々な状況をシミュレーションしてみましょう。
自作で不動産投資のシミュレーションを作成する際の注意点
自作Excelシミュレーションの最大のデメリットは、間違ったものを作成してしまう恐れがあるという点です。
間違ったExcelシミュレーションで不動産投資に失敗してしまうなんてことがあっては、元も子もありません。
数式を間違えていたり、絶対参照を付けていなかったり…小さなミスで、全く別の結果になってしまいます。
そうならないように、インターネット上に、様々なローンシミュレーターがあるので、それらでその都度答え合わせをしながら作成していきましょう。
また、今回のシミュレーションは税金については考慮されていませんので、固定資産税や都市計画税など、また、収入状況によっては所得税なども変わってきますので、その点は注意が必要です。
シミュレーションを作ってより賢い不動産投資家へ
自分でExcelを使ってシミュレーションを作るなんて、ハードルが高いと思っている方も多いかと思います。
しかし、実際やってみると意外と簡単です。一度作成してしまえば、複数で所有したらどうなるか、繰上げ返済の額を変えたらどうなるかなど様々な状況を想定して、世界にひとつだけのシミュレーションが出来るはずです。
そして、自分の手と頭を使って作成することで、より不動産投資への理解も深まることでしょう。皆さんも是非チャレンジしてみて下さい。