不動産エコノミストが語る 不動産投資の必須思考

ワンルーム投資は私的年金になり得るのか?

ワンルームマンションを購入する理由の一つとして、「将来の年金の足しにするため」と答える方が多くいらっしゃいます。このフレーズはワンルームマンション営業担当者も良く使うものです。
ワンルームマンション投資において、所有するワンルームマンションからの賃料収入からローンを支払い、その他管理費用などの経費を引いた残りが収益となります。ローン支払いが終わると、経費を引いた残り全てが入ってきます。例えば30歳で購入し、35年ローンを組むと、65歳以降には、かなりの手残り分が収入となります。この収入が、年金のような意味合いになるというわけです。

年金はどのくらいもらえる?

日本の年金の仕組みは、少しややこしくてわかりにくいと言われています。
基本的には、日本に住む人すべての人(20歳以上、60歳未満)が加入する「国民年金(基礎年金)」と、企業などに勤務している人が加入する「厚生年金」の2階建てになっています。
さらに、企業に勤める従業員を対象として、企業が独自に運営する確定給付企業年金があります。

国民年金は65歳から支給を受けることができ、厚生年金の支給年齢は60歳からでしたが、現在段階的に引き上げられ、もうしばらくすると65歳からの支給になります(男性が先に65歳に、その後女性も)。
国民年金の保険料は原則として全員が同じで定額です(月あたり約55,000円~60,000円程度)。
厚生年金の保険料は収入に対して定率ですので、つまり支給額は収入に応じて変わります。

ワンルームマンション賃料収入が加わればどう変わる?

以下のような例で見てみましょう。

月額賃料が10万円で、管理費・修繕積立金や入居者管理費などの経費が16,500円(15%)かかる新築ワンルームマンションを3,000万円で購入、ローンは35年で固定金利2%と仮定します。
すると、月々の返済は99,378円で、キャッシュフローは15,879円/月のマイナスとなります(※ただし、借入中は節税効果を期待できますので、実質的なマイナスは少なくなります)。
しかし、これを65歳で完済したとするとき、それ以降は、国民年金(約5~6万円)+厚生年金(各人により年金額は異なりますが、平均月15万円程度)に加えて、「賃料マイナス経費」分が毎月入ってきます。
これらを合計すると、ローン完済済みのワンルームマンションを持っていると、公的年金で20万円~21万円に加えて、ワンルームマンションの収益が入ります。ワンルームマンションの賃料は、東京23区で立地のいい場所の物件だと、築年数が古くても、賃料下落は小さいので、これを10万円とすると、経費差し引き後の収益は8万円以上あります。
ワンルームマンションを1つ持っていると、20~21万円に約8万円が加わり28万~29万円、2つ持っていると、36~37万円となります。先に示したように、仮にローン返済中の収益がマイナスだとしても、その分十分に元が取れるということになります。

投資用ローン、融資期間の拡張

さらに、最近では融資期間の最大年数が拡張している傾向があります。
ある金融機関は、最大45年まで引き上げ、完済年齢も84歳までに延長しました。返済期間が長くなると、月々の返済も軽くなり、キャッシュフローが改善されます。
前述の例だと、期間が35年から45年になると、毎月15,879円の持ち出しが、毎月799円の持ち出しとなり大幅に改善します。
また、期間が長くなることで、高齢の方でもより長期間且つ高齢までローンを組むことができるようになりました。
とはいえ、返済期間がリタイア後まで続くことのリスクがあるのではないかと考える方も多いと思いますが、組み立てを工夫し、繰上げ返済を活用すれば大きな安心を得ることが出来ます。

ここで、またひとつシミュレーションをしてみましょう。例えば、先ほどと同じ物件を2戸、44歳の方が84歳まで40年ローンで組んだとします。
月々のキャッシュフローは1戸あたり7,348円の持ち出しになります。例えば家計をやりくりして預貯金に回していた100万円を毎年1戸目の繰上げ返済に集中的に回すとします。すると、およそ18年で完済できます。
つまり、62歳には1戸目は完済できます。1戸目完済後は、家賃から経費を引いた丸々が収入となるので、これに加え引き続き2戸目のCFと毎年100万円の自己資金で繰上げ返済を続けたとすると、2戸目は1戸目返済から6年後の24年で完済します。
つまり、68歳以降は、無借金のマンションを2戸所有することが出来るわけです。今のようなに預貯金をしても利息はほとんど期待できないことが長く続くようななら、このように繰上げ返済に回す案もありかもしれません。

まとめ

今回は年金にフォーカスして説明しましたが、ローンを使ったワンルームマンション投資には生命保険代りになるメリットもあります。
特に健康な30歳代、40歳代の方には銀行の融資も好条件でうけられます。ローンを活用したワンルームマンションを検討することで将来の年金にプラスアルファの収入が期待できることは間違いなさそうです。

不動産エコノミスト
一般社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産エコノミスト 吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。 (株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職. 不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。