資産運用において切り離せないのが税金の問題です。特に、利益に対して課される所得税や住民税、そして将来的な資産承継に関わる相続税や贈与税の知識は、投資家にとって必要な知識の一つです。
中でも不動産投資は「節税に有効」とされる場面が多く、サラリーマンを中心とした投資家にも人気を集めています。不動産投資はいくつか注意点もあるため、始める前にしっかりと確認しておくことが重要です。
本記事では、不動産投資にまつわる税金の基本にフォーカスし、メリットや注意点などを初心者向けに分かりやすく解説します。
1.不動産投資で重要!確定申告の基本
確定申告は不動産投資を行ううえで必要な手続きです。
確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)に得たすべての収入を集計し、それに応じた税額を算出して国に申告・納税する手続きです。毎年2月16日から3月15日までの期間内に、税務署へ必要な書類を提出するのが原則となっています。
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。白色申告は手続きが比較的簡単な申告方法で、青色申告は帳簿付けなど一定の要件を満たす必要がある代わりに、特別控除や赤字繰越などのメリットを活用できる申告方法です。
不動産投資で収入を得ている場合は自分で確定申告を行うことも多いため、投資家は手続きの基本を知り、必要に応じて専門家に相談することが重要です。
確定申告の方法
確定申告は従来の紙による提出に加えて、「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」を利用したオンライン申告も可能です。
不動産投資に関する申告では、必要書類が多岐にわたるため、e-Taxを活用する際には事前に流れや必要な資料を整理しておくとスムーズです。
確定申告に関する基礎知識、e-Taxを活用した不動産投資の確定申告の流れや必要書類については、次の記事で詳しく解説しています。

2.不動産投資における経費
不動産投資は「不動産賃貸業」という一つの事業として捉えられるため、不動産投資にかかる費用を経費として計上することができます。
ただし、あらゆる支出が無条件に経費として認められるわけではありません。経費として認められるもの・認められないものがあるため、あらかじめ基準を理解しておくことが大切です。
以下の記事では、マンション投資を例に経費として申請できる項目について詳しく解説しています。

3.不動産投資が「節税になる」といわれる理由
不動産投資が資産運用の手段として注目される背景には、税務面での優位性があります。
不動産投資は給与所得と異なり経費の幅が広く、同じ収入であっても、損益通算によって課税所得を減らす効果が期待できます。
ただし、「節税になるから」という理由だけで投資を始めるのは危険です。仕組みを理解し、利益を確保しながら結果的に節税につなげる視点が求められます。
不動産投資による節税の基本的な考え方については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

4.節税効果が得られるケース・得にくいケース
不動産投資は節税手段として語られることが多い一方で、必ずしもすべてのケースで効果が得られるとは限りません。
ここでは、節税効果が得られやすい投資パターンと、注意が必要なケースについて整理します。
不動産投資では、経費を計上することで帳簿上の赤字を活用して節税につなげられる可能性があります。特に給与所得が多い方や複数の給与所得がある方にとっては、効果的な手段となる場合があるでしょう。
節税効果に関する具体的なポイントはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

「誰でも節税」ではない
不動産投資は誰でも必ず節税効果が得られるわけではありません。投資家自身の収入や投資物件によっては、効果が期待できないケースもあります。
投資判断に注意すべきケースについては、以下の記事をご参照ください。

5.まとめ
不動産投資は、確定申告を行うことで、節税につながる可能性があります。ただし、節税目的のみで不動産投資を行うことはリスクを伴うため、十分注意が必要です。
不動産投資を行う場合、経費計上による節税の効果は一つの「+αのメリット」程度に考えておくとよいでしょう。実際の節税効果は収益と支出(経費)のバランスや、本業の収入・所得によって変わります。税金は収益を超えて課せられることはないため、まずは安定した収益を確保できる不動産投資を心がけましょう。
基本的なルールを理解し、専門家の力も活用しながら、長期的な資産形成につなげていくことが大切です。