最新!不動産市況を読み解く

東京の人口動態を読み解く

賃貸住宅の需要を読み解くデータの中で最も重要なものの1つは、人口動態です。
賃貸住宅(貸家)と一般住宅(自己所有)を合わせた住宅需要全体については、エリアの人口よりも世帯数を重視して分析するのが一般的です。しかし、賃貸住宅においては、人口の動き(動態)が重要な観点となってきます。

以前、『ニュースから経済社会情勢を読み解く 第1回 「東京23区、1年で58万の転入!」』でも少し触れましたが、東京23区には1年間で60万人弱(平成28年データ)の方々が転入してきます。

では、どの年齢での転入が多いのでしょうか?

図1は平成28年に東京23区に転入された方の数を年代ごとに表したものです。
これを見れば、一目瞭然ですが、10代後半~30代前半が圧倒的に多くなっています。 高校までは地元で暮らし、大学(専門学校)進学で、東京23区に転入する、もしくは就職に際して東京23区に居を構えるというパターンが圧倒的に多いということです。
言うまでもありませんが、こうした転入者の方々のほとんどが、賃貸住宅に暮らしていると思われます。大学生においては、学生寮もありますし、もちろん、親戚宅や知人宅というのもあると思いますが、圧倒的に多いのは民間の賃貸住宅(ワンルームマンション)暮らしの方でしょう。

また、就職での東京23区への転入の場合は、さすがに就職して社会人となって親類宅というのは減ると思いますが、社宅に住む方もいらっしゃいます。しかし社宅の数は1990年代の後半以降激減しました。今では、会社が民間賃貸住宅を借り上げて社宅扱いとするパターンが多いようです。もちろんこうした制度がなく、家賃補助が支給されて、あるいは全額自己負担で民間賃貸住宅(ワンルームマンション)を借りる方がほとんどです。

別の角度から見てみましょう。
図2は、東京23区の有効求人倍率と、転入超過数の関係性を調べたものです。

東京23区への転入超過数と有効求人倍率のグラフが極めて似ているのが、分かります。どれくらいの関係があるのかを数学的に見る「相関係数」という数値がありますが、この期間の2つの相関係数は0.82となっています。相関係数は「0.4~0.7:やや相関がある」、「0.7以上:強い相関がある」ということになっていますので、この2つは強い相関があると言えます。

つまり、

①有効求人倍率が増えると東京23区への人口流入が増える
②東京23区への人口流入が増えると、賃貸住宅需要が増える可能差性が高い

ということになります。

2017年4月28日に厚生労働省から発表された資料によると、2017年3月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月に比べて0.02ポイント上昇の1.45倍ということでした。この数字は、バブル最高潮時の1990年11月(1.45倍)以来26年4カ月ぶりの高水準というものでした。地方都市では、まだまだ景気回復していない様子から考えると、求人を出している企業の大半が大都市の企業だと思います。そのなかでも圧倒的なのは東京都内の企業でしょう。図2になるように、東京都の有効求人倍率は2倍を超えています。

このように先に述べた、①②のロジックで考えると、東京中心地での賃貸住宅の需要は、しばらくはさらに高まるものと思われます。

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産エコノミスト 吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。 (株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職. 不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

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