不動産投資の税金と節税

【e-Tax】不動産投資の確定申告の流れや必要書類

不動産投資を始めると気になるのが税金の問題です。
給与以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が義務付けられており、赤字であっても申告をした方が良いケースがあります。自分が当てはまるか確認しておくと安心です。

そこで今回は、不動産投資における確定申告の流れ、必要書類とその入手法、青色申告と白色申告の違い、損益通算について解説します。

【目次】

1.不動産投資における確定申告
 そもそも確定申告とは
 不動産投資は確定申告が必須
2.不動産投資の確定申告の流れ
3.確定申告の必要書類と入手先
4.不動産投資の青色申告と白色申告の違い
 青色申告
 白色申告
5.不動産投資の確定申告は損益通算も押さえよう
6.まとめ

1.不動産投資における確定申告

不動産投資をする際に必要な確定申告について、まずは概要を見ていきましょう。

そもそも確定申告とは

確定申告は、1年間(1月1日~12月31日)の所得を計算し、国に納税額を報告する手続きのことです。
計算した所得と税額を確定申告書に記載し、翌年の2月16日~3月15日に税務署に報告します。

憲法に定められた国民の三大義務の1つに「納税の義務」があり、申告を怠った場合には罰則が科されます。

サラリーマンの場合は、会社が所得税を計算し本人の代わりに納税する「源泉徴収」という仕組みがあり、確定申告は不要です。
ただし、副業や投資で所得がある会社員は確定申告が必要になるケースがあります。

不動産投資は確定申告が必須

サラリーマンでも不動産投資をしている場合は、確定申告が必要です。
不動産所得が20万円を超える場合はもちろん、赤字でも給与所得と合算して税金の還付を受けられます。

給与以外の所得が不動産収入のみで20万円を下回る場合、所得税は課税されず、確定申告は必要ありません。
ただし、住民税は申告しなければならないので注意しましょう。

その他、医療費控除やふるさと納税による寄付金控除を受ける方は、確定申告の対象になります。不動産所得以外の申告事由がないかも、確認しておくと安心です。

2.不動産投資の確定申告の流れ

不動産所得の申告をする方に向けて、実際の確定申告の流れをご説明します。
※今回は初心者の方がつまずきやすい「不動産の収支内訳書」を中心に解説します。

確定申告は①税務署に直接書類を提出する方法、②郵送する方法、③e-Taxで電子申請する方法の3通りがありますが、提出方法によらず国税庁のWebサイトで書類を作成できます。

オンラインで必要項目を入力するだけで経費などが自動計算されるため、初心者でもわかりやすく大変便利です。

今回はe-Taxを用いながら申告の流れを見ていきましょう。


まず、国税庁のWebサイト「国税庁 確定申告書等作成コーナー 」にアクセスします。「作成開始」をクリックし、税務署への提出方法を選択する。

e-Taxで電子申請する場合はICリーダーなどの接続機器(スマートフォンやパソコンに標準装備されている場合もある)が必要となります。
予め必要機器をご確認の上、ご準備ください。

「印刷して提出」を選ぶ場合は提出時期に注意が必要です。
災害などのやむを得ないケースを除き、申告をしようとする年の3月15日までに提出しましょう。

次の画面に進み、申告書の種類を選択します。今回は不動産所得で青色申告する ケースを想定しているため、青色の「決算書・収支内訳書(+所得税)」をクリックします。

提出方法は「e-Taxで送信する。」、作成する決算書は「青色申告決算書を作成する。」を選択します。

青色申告決算書の種類選択まで来たら、青色申告決算書(不動産所得用)の「入力する」をクリックします。

次の画面が出たら、収入金額や必要経費の入力を行います。ひとつひとつの項目を詳しく見ていきましょう。

まずは、収入金額です。青字の「賃貸料」をクリックしてリンク先に移ります。

ここでは、不動産の所在地や賃貸契約期間、賃貸料を記入します。赤枠は必須項目、青枠は該当するものがあれば記入してください。
クレアスライフ 発行の年間収支資料という書類を見ながら進めるとスムーズです。その他、売買契約書や賃貸借契約書でも確認できます。

所有物件全ての情報を入力したら「入力終了(次へ)」をクリックして決算書の入力画面に戻り、科目(1)と(4)に数値が反映されているか確認しましょう。
先ほどの画面で礼金・権利金・更新料を記載していれば、科目(2)にも金額が表示されます。

次に、必要経費の入力です。租税公課、損害保険料、修繕費は枠内に金額を記入します。
クレアスライフからマンションを購入されている投資家の場合、修繕積立金は管理費領収書で確認頂けます。

租税公課は事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金と商工会議所、商工会、協同組合、同業者組合、商店会などの会費、組合費又は賦課金です。

損害保険料は損害保険の保険証券で確認できます。不動産の維持管理や原状回復のために要した金額は修繕費に計上可能です。

続いて減価償却費の入力です。青字の「減価償却費」をクリックしてリンク先に移りましょう。
「新規に減価償却資産を入力する」を押すと、次の画面が表示されます。

減価償却資産である建物は躯体と設備(附属設備)に分けられ、それぞれ償却法や耐用年数が異なるため、確認が必要です。
クレアスライフでは、売買物件の内訳通知書(対価証明書)を発行しており、躯体対価、設備対価をお知らせしております。

売買契約書を見ながら、赤枠の入力を進めていきます。前年末未償却残高は減価償却資産を前年以前より取得している場合に入力が必要です。

耐用年数は「耐用年数を確認する」ボタンから確認できます。
改定取得価額を入力しなければならない場合は「改定取得価額を計算する」ボタンが表示されますが、クリックすると自動入力されます。

参考までに、クレアスライフで分譲している新築・鉄筋コンクリート造のマンションの場合、躯体部で47年、付属設備で15年の耐用年数となっています。
※取得する不動産によって耐用年数等は異なりますので、ご注意ください。

次に、不動産購入の際にローンを組んでいる方は、借入金利子の入力を行います。

借入返済表を見ながら入力を進めてください。「期末現在の借入金等の金額」には確定申告をする年度の12月の残高を入力しましょう。
「本年中の借入金利子」はその年の利息の合計です。

地代家賃の経費計上が必要な場合は以下の入力を行います。

地代家賃とは、事業を経営するにあたって必要な事務所や店舗、社宅の家賃や共益費、月極駐車場の使用料やその他の土地の使用料です。
これらを購入・利用している場合は忘れずに入力しましょう。

従業員を雇っている場合は給料賃金欄も記入します。

必要経費欄の青字の項目(減価償却費・借入金利子・地代家賃・給料賃金)が全て入力できたら、その他の経費を科目(12)以降に記入していきます。

税理士や弁護士に支払った費用があれば税理士等の報酬に、震災による在庫や固定資産等の損失があれば震災関連経費にそれぞれ入力します。
必要経費として追加したい項目があれば科目を入力して費用を計算しましょう。通信費・交際費・交通費などが計上可能です。

全て入力が完了したら、収入金額の合計(科目4)、必要経費の合計(科目18)、青色申告特別控除前の所得金額(科目21)に間違いがないか確認し、決算書の入力は終了です。

次は必要があれば「貸借対照表」の入力を行います。賃借対照表は65万円の青色申告特別控除を受ける際に必要となりますが、不動産所得が事業的規模と認められていない場合は対象外です。

事業的規模の基準は、アパート・マンションでは10室以上、貸家では5棟以上。これを満たしていない場合は貸借対照表の記入は不要です。

決算書、賃借対照表の入力が終われば、後は説明に従って進めていくだけで申請書が送信できます。以上でe-Taxでの確定申告は完了です。

3.e-Taxで確定申告する際の必要書類と入手先

e-Taxで確定申告する際の経費や契約内容などの確認に必要な書類とその入手先です。

書類の種類 入手先
売買契約書 所有者
賃貸借契約書
固定資産税通知書 管轄の行政
売渡精算書 不動産会社(業者)
借入返済表 金融機関(ローン契約の場合)
源泉徴収票(給与所得がある人) 勤務先
損害保険の保険証券 保険会社
管理費及び修繕積立金等の領収書 管理会社・工事請負業者


申告時期に慌てないよう事前に準備し、日頃から管理しておくといいでしょう。

4.不動産投資の青色申告と白色申告の違い

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。以下で2つの違いや必要な書類を確認しましょう。

青色申告

不動産所得がある方は、青色申告をすることで税務上のメリットを受けられます。事業的規模なら最大65万円の控除が適用され、個人事業主でも最大3年間赤字を繰り越せます。

「青色申告承認申請書」の届出や帳簿書類等の保存等が必要で、申告の手間はかかりますが、手厚い控除を受けられるため不動産投資を行っている方におすすめです。

白色申告

白色申告は事前の届け出は不要で、提出書類も比較的少なく済みます。青色申告より簡易的ですが、最大65万円の控除は受けられません。

慣れないうちは白色申告でも、いずれは青色申告への移行を検討する方がいいでしょう。

5.不動産投資の確定申告は損益通算も押さえよう

確定申告では、本業での所得と決算書・収支内訳書の損益を合算する(損益通算)ことができます。
不動産投資が赤字の場合は、本業の所得からその赤字分を差し引くことができるわけです。

課税対象となる所得が下がることで、支払うべき所得税が少なくなります。逆に、不動産投資が黒字の場合は納税となります。

納税は国民の義務のひとつです。損益通算による税務上のメリットを過度に期待せず、資産形成の方法として不動産投資を行うといいでしょう。

一見、確定申告は難しいと感じるかもしれませんが、一度経験すればそこまで難しいものではありません。
クレアスライフでは提携税理士が監修してくれる申告書作成会なども実施しています。

こういったアフターフォローをしてくれる販売会社から購入することも、不動産投資を始める上でのひとつの安心材料になるでしょう。

6.まとめ

不動産投資をしている人は、給与外の収入を得ることになるため、確定申告が必要です。
確定申告は①税務署に書類を提出する方法、②郵送する方法、③e-Taxで電子申請する方法の3通りがありますが、最も簡易的に申告できるe-Taxの利用が便利でしょう。

確定申告には青色申告と白色申告の2種類あり、それぞれ必要な書類や特別控除の有無が異なります。
青色なら最大65万円の控除や最大3年間の赤字の繰り越しを受けられるため不動産投資をしている方は青色で申告するのがおすすめです。