不動産投資の税金と節税

2017年、最新の路線価発表! 相続対策の見直しが必要? 

2017年7月3日、国税庁は2017年の路線価を発表しました。全体で見ると、今年の路線価は前年と比べて0.4%上昇しており、リーマンショック以来の上昇となった前年に続いて、2年連続で上昇したことになります。

路線価は、高齢化社会において切り離せない相続税の問題に大きくかかわるものです。
路線価の動きを把握することで、相続における新規の対策だけでなく、一度講じた対策の見直しのきっかけにもなるのです。

(データ元:国税庁のページ)
http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm

(参考サイト)
https://www.happy-souzoku.jp/souzoku-14545.html

路線価とは?

路線価とは各地域にある路線(道路)に面した標準的な宅地1㎡あたりの土地の評価額のことです。
路線価は毎年7月に国税庁から1月1日時点の価格が発表され、相続税の課税価格を計算する際の基準になっています。

そのため、路線価は「相続税路線価」と呼ばれます。
国土交通省土地鑑定委員会によって毎年3月に発表される公示地価を指標にして評価決定されるもので、路線価の目途は公示地価の8割程度といわれています。

2017年の路線価の特徴

2017年の路線価の特徴は、下落している県の数が前年と比べて少なくなっているほか、下落している県の下落幅が小さくなっているなど、全体的にみても上昇傾向にあると言えるでしょう。
この上昇傾向の要因になっているのは、日本に観光で訪れる訪日外国人の増加です。

政府が外国人の受け入れを積極的におこなったため、東京都では都心部を中心とした再開発が進み、全国各地でも外国人観光客向けにさまざまな対策が講じられています。
これらの結果、土地の評価額が上昇したと考えられています。
しかし、外国人観光客が多く訪れる都市部と、その他の地域との間には上昇率や下落幅に差があるなど、路線価の地域格差は広がっている傾向にあります。

相続対策は更新するもの

相続対策は更新するもの

多額の資産を相続する際には相続税がかかります。特に不動産は比較的高額なため、所有していると相続税の対象になりやすいものです。
そして、土地の相続税はこの路線価を基に算出される(建物は固定資産税評価額が基になります)ため、路線価の動きは相続税の動きと連動するといえるでしょう。
昨年、対策を講じた方も改めて再計算してみてはいかがでしょうか。

また、よく相続税対策に不動産評価を下げることで節税を図る方法を目にします。
賃貸不動産にしたり、小規模宅地の特例を活用したり、方法はさまざまですが、評価額の引き下げばかりに目を奪われて、不動産本来の資産価値まで目が届かなくなるケースも見受けられます。
不動産は相続した子どもたちにとって利用価値がなくては意味がありません。

むしろ、相続する子どもたちにとっての将来対策になっていなければ意味がありません。
せっかく相続税が安くなったのに、後に子供たちがその不動産を「売るに売れない」「貸すに貸せない」、ただ支出が続くだけになってしまったら本末転倒です。

昨年の路線価を発表した際にも、コラムでは相続対策の見直しをおすすめしました。
路線価が毎年変化するように、相続対策も毎年見直すことが大切です。
改めて、対策は常に更新することをおすすめしたいです。

株式会社クレアスライフ 不動産コンサルタント

清水 剛

不動産投資の営業として16年従事し、これまで数百人に上る投資検討者への提案・アドバイスを行う。 現在は営業の第一線から卒業し、企画側として不動産投資の魅力を多くの人に伝えるべく、セミナー講師やメディア出演などに精力的に取り組んでいる。